新作パトレイバーEZYはあれから30年後の話?

パトレイバーの続編

 2017年10月5~12日に山形県で開催された「山形国際ドキュメンタリー映画祭」でとある企画がありました。それは、パトレイバーのための企画・原作者集団である「ヘッドギア」の一人で、脚本を担当した伊藤和典さんのトークイベントパトレイバーが話題の物ではない)です。

 その際に現在手がけている作品が2本ある*1とし、そのうち一本が「パトレイバー」であるとの話が出たそうです。

  もしかして、(作品として発表されて)30年経ったパトレイバーの続編、ということかもしれないんですが、今回の山形のトークイベントに参加した他の方にも伺ったところ、伊藤さんはEZY(イジー)のタイトルを話に出して、30年後の話と仰っていたそうです。

 これをそのまま受け取れば、いくつかあるパラレルワールドで作品毎に違った最終回がありますが、どれかの最後から30年経過した物語、と受け取れます。

 アニメ作品については、どの出来事の前後といった「時期」の話を言っているは見た事ありますが、パトレイバーに「正史」があるとヘッドギアのメンバーが言ってるの見たり聞いた事がありません。

 それは、HEADGEARメンバー5人それぞれが自分の分野で創作したパトレイバーが、パラレルワールドになっているからです。5人共同で物語のアイデアを出し合ったりした最初のOVAや劇場版といった作品もありますが、設定を共有したり他のメンバーの作品にあるアイデアを取り入れたりして、5人それぞれ自分で自由に創作した作品もある訳です。なのでレイバーが衰退した世界もあれば、衰退しなかった世界があっても不思議ではないのです。それと「○○が無かったことに」とか言うのも、パラレルワールドではそもそも当てはまらない発言です。

過去の発言との一致

 2016年10月13日、株式会社ジェンコ・真木太郎社長のフェイスブックに、以下の投稿がされました。時期的には日本アニメ(ーター)見本市のラインナップの一つである『機動警察パトレイバー REBOOT』(監督:吉浦康裕 氏)が、

東京・大阪の劇場で上映される直前の投稿です。

 

フェイスブックが利用を許可しているAPIの埋め込み機能を使っていますが、「もっと見る」の部分をクリックすると全文表示されます。

 それ以降、今までプロデューサーやヘッドギアの一部メンバーが新作のことを度々語っており、その度に書いてきました。

mech.hateblo.jp

 特に2017年2、3月にベルギーのアニメ映画祭で行われたジェンコ・真木社長のインタビューで、舞台は2030年ごろというのを匂わせる話が出ていました。

mech.hateblo.jp しかし、その話の事を書いた時点では「物語を最初からやり直すパターンのリブートやリメイク」なのか、「いずれかのシリーズの続編」なのかがハッキリしていませんでした。

 ところが今回、日本でヘッドギアのメンバーの口から「30年」という具体的な話が出てきた訳です。

 正確にどう発したのかは映像等がないので分かりませんが、Twitter投稿者やイベント参加者から出る「30年後」「30年経過」という語句からしても、基準となる年がある訳ですから、初期OVA、テレビシリーズなど、どれかのシリーズの続編と考えるのが自然でしょう。仕切り直しで最初からやり直すタイプのリブートやリメイクの場合、続編とか続きとは言わんでしょうし。

 しかし今の段階では、実制作に入る前のプリプロダクションの段階でしょうし、変更されることもあり得るかもしれませんし、パトレイバーのシリーズはパラレルワールドであり、色々出来るので「回想とかで2つの時間軸の話が出てくる」とか、変わった変化球で来ないとも断言はできませんが……

30年経過

 2016年10月15日(土)開催「機動警察パトレイバーREBOOT」公開記念トークイベントで、今後の展開について聞かれた出渕さんは「具体的に何も決まっていない」としながら、以下のように発言していました。

↓ニコニコのアカウントを持っていれば、アーカイブが無料で観れます。

live.nicovideo.jp

でまあそれで、やるとすればパトレイバーって常に何かこう、その放映もしくは上映されている時代よりも10年後先みたいな。設定はそうなんですけど、でもやってるのはその同じ時代っていうの、風景っていう形なんですけど、そういうスタンスになるんじゃないかなという感じはしますけどね。

出渕さんの言っていた、

  • 放映もしくは上映されている時代よりも10年後先設定
  • でもやってるのは放映上映時代の風景っていうスタンス

というのと、映画祭で伊藤さんが語った事を考慮すると、機動警察パトレイバーという作品が発売された1988年の30年後(2018年頃)の物語ではなく、劇中で物語の始まりとなった1998年から30年後(2028年頃)。若しくは、パトレイバー2 the Movie(2002年が舞台)の30年後、2032年前後の物語という可能性が高いように感じます。

 もし現実世界での経過時間で30年後ということだと、2018年から数年間がその期間に当たるのですが、現実世界と同時進行に展開することになり近未来という括りはなくなります。

 どっちにしても、真木プロデューサーが「アニメはオリンピックまでにやりたい」(下の項目参照)というのが2020年の東京大会だとすると、その10年後である2030年前後が舞台である可能性は高いと思われます。

 ここ数年のロボット技術は、ペッパーを代表とするコミュニケーションロボットの一般発売や、原発廃炉作業など向けロボット開発コンテストの実施、ボストンダイナミクス社のロボットや韓国の搭乗型巨大ロボなどの登場、協調ロボットの実用化や機械学習を利用した人工知能技術の発展とも相まって、人間を取り巻く様々なロボット環境が世界中で大きく変化しています。

 この先の十数年は、現実世界でロボットが身近になり、どういうものか一般に浸透していく事になりそうです。ロボットは遠隔操縦や自律型が増えそうな感じですが、元が近未来で風景もさほど変わらない作品だけに、そういった中で搭乗型のレイバーにリアリティを与えることが出来るのか、果たして2030年?といった十数年後に「ありえそう」と想像出来るようなリアリティある設定の作品になるのか?といったところも注目が集まる点でしょう。

2017年6月のポスターは正式な製作発表なのか?

 そもそも、2017年6月にフランスのアヌシーアニメ映画祭・見本市でポスターが公開され、それがネットメディアで記事にされ拡散したわけですが、あれは製作正式発表なのでしょうか?

 あの1989年劇場版ポスターと似た画像が出た後に、ジェンコ真木社長が自身のTwitterでプロデュースすると投稿、伊藤さんも実現はもうちょっと先と投稿しただけで、他の作品のようなプレスリリース(各ニュースメディア等でほぼ同じ内容の記事が出る場合などがプレスリリースを基に記事が書かれている)という形で発表された形跡はありません。なので、映画祭のポスター掲示は、株式会社ジェンコパトレイバーの版権を扱うと言う事と、今後新作を予定しているという告知であると思います。

 今後、まずはジェンコか、関連する企業、何らかの本、新設される公式サイト・SNSアカウント等から制作決定の発表があり、続いてプレスリリースに基づく発表が各メディアから報道され、ビジュアルやスタッフ発表、声の出演発表、放送時期発表、放送局発表というような事が順次発表されていくはずです。

2018年8月12日追記

 日本記念日協会パトレイバーの日(8月10日)が登録され、8月10日に新しいパトレイバーの公式サイト、公式SNSアカウントが開設されました。中身としては、10日の段階でいわゆるサイトの表紙だけで、特にこれと言った情報はありませんでした。ただ、この開設予告にあわせて、株式会社ジェンコからメディアに流されたプレスリリースによると、

prtimes.jp

なお、アニメ公開年は現状未定ですが、制作の進捗情報に関しては公式HP、SNSなどで随時お伝えしていきます。

とあります。

 このプレスリリースが出てからのTwitterを検索してみたんですが、想像以上に見出ししも本文もちゃんと見てない人たちがいてびっくりしました。いろんなニュースサイトからプレスリリースを基にした記事が出たのですが、基本的に内容はプレスリリース以上の事は書かれておらず、10日にはサイトとアカウントの開設がある、EZYのプロジェクトが本格始動した、という情報しか発信していないのにもかかわらず、新作の詳細情報が出ると早とちりしていた人の多い事。

 かく言う私もパトレイバーの日の開設なんだし、記念日協会のパトレイバーの日のページに書いてある内容から、ヘッドギア5人から30周年にあたってのコメントくらい出るんじゃなかろうかと、思っていたのですが……

スタッフ

 現段階では具体的なスタッフの名前やアニメ制作会社、ヘッドギアの5人がどのように関わるのか、といった事は発表されていません。

 EZYがどこのアニメーションスタジオで制作されるのかも注目点ですが、パトレイバーはアニメーション制作スタジオが毎回同じという訳ではありません。最初のOVAと劇場版1作目はスタジオディーン、テレビシリーズとその続きであるNEW OVAは制作協力としてサンライズ、劇場版2作目はI.Gタツノコ、劇場版3作目は紆余曲折ありマッドハウスミニパトプロダクションI.Gとなっています。

 制作ではなく製作はどうなのかというと、過去のアニメはバンダイビジュアル東北新社がメイン。劇場版2作目はイングという会社がありますが、これはI.Gの会社。EZYではジェンコ単独なのか、バンダイビジュアルなど他社と組むのかといった点も気になるところ。

 ジェンコの真木社長の発言によると、シリーズと映画を構想しているそうです。シリーズというのは、12話とか24話といったある程度まとまった話数の事でしょう。その前例というか、比較できそうな作品として、1989年から放送されたテレビシリーズがあります。シリーズ監督はヘッドギアメンバーではない吉永尚之氏が務め、ヘッドギアの伊藤氏が脚本とシリーズ構成、出渕氏がメカデザインや脚本、押井氏が脚本、高田氏がキャラクターデザイン、ゆうき氏は漫画版にあるエピソードを提供、と言った感じでした。EZYでも同じような形になるかどうか、といったところでしょうか。

作品の発表時期は?

 発表時期については、2016年12月に真木プロデューサーがゲストで呼ばれたこの

youtu.beネット番組では、

岡田「どの辺まで算段ついてるんですか?」

真木「とりあえずアニメはオリンピックまでにはやりたいと思ってます」

と語り(↑の動画の42分経過のあたりから)、その翌年2017年9月に公開されたネットラジオ番組では

agonp.jp

真木「今新しいアニメーションを作り始めてます。作り始めてますって言ったって、まだシナリオも出来てないから。ま、一体何年にね……」

<略>

真木「いわゆるシリーズ+映画、計画中で、何年になることやらね」

と語っています。

 さらにヘッドギアの伊藤さんは、2017年6月にフランス・アヌシー映画祭で公表された「パトレイバーEZY」のポスターを報じたネット記事に対し、

 と投稿しています。

 これらの発言からすると、新作発表の時期についてはまだ発表出来る段階にないが、ある程度の目標としてオリンピック(たぶん2020年の東京大会)ごろまでには、という感じでしょうか?

追記

 2018年3月にフランスで行われた「Japan Tour Festival」というイベントに、ヘッドギアの高田明美さんがゲスト出演。その際のライブドローイングの合間の質問タイムにちょっと気になる発言がありました。

この動画の57分経過ごろからの質疑応答で、最近はどうしてイラストを描く仕事がメインなのか?というような問いに対する回答のなかで、

新しい作品も水面下で進んでいたりする。

みんな2020年を楽しみにしてて……あまり言えない。

今3本動いてる。で、そのうち2本はまず日の目を見るであろう、1本は絶対。

ということを仰っています。当然作品名を言っていないので、何のことなのか不明ですが、前後の発言からアニメ作品のことらしいです。ここでもまた2020年という年が出てきましたが、パトレイバーと関係あるのかないのか……

2018年8月12日追記

 高田さんのオフィシャルホームページの記事にリリース(たぶん発売とかではなく、発表の意味)に関する重要な文章があるので、探してみてください。これでまた2020年説の補強材料が出て来た…あまりに漏れてる気がするので、欺くためのダミーなのではないかと思うくらいですが、別にそんな事をする必要も無いか。これは見出しだけで判断しないで、念入りに文章を読んでいる人へのご褒美でしょうか。

EZYのポスター

 あとはEZYのポスターにあるイングラムはどういう扱いなのかと言う点。上に挙げた記事にも書いたのですが、2017年9月に公開されたラジオで真木プロデューサーが語ったところによると「シナリオもまだ出来ていない」そうです。山形のイベントでも伊藤さんが「まだポスターしかない」という話をしたそうなので、2017年6月に公開されたビジュアルは単に宣伝用である可能性も??

 ただ、このポスター掲示の際にアヌシーで取材をしていた、アニメジャーナリスト数土直志氏(氏のツイッターの投稿内容から現地に居たことが伺える)が運営しているアニメーションビジネス・ジャーナルというサイトに記事が出たのですが、

animationbusiness.info

その記事には、ジェンコのブースで掲示されていたEZY以外のビジュアルは全て仮のビジュアルとしており、逆にEZYは現時点で最も企画の進んでいる作品と考えていいだろうとも書かれています。

 30年後となると、(どのパラレルワールドの延長線上の物語かは現時点では不明ですが)舞台設定年代としては実写TNGより先の話になるわけで、ポスター画像のレイバーが98式イングラムだとしたら、30年も使われ続ける理由が必要となるでしょう。

 TV、アーリーデイズ・映画など、どういった世界の話になるのか分かりませんが、ピースメーカーやヴィリアントなど後継機を何らかの事情で放逐し、イングラムスーパーカブのように基本設計の多くが継承されて30年使われている、と言うようなことなのか?何かひと捻りあるのか?今のところ謎で推測の域を出ません。

 更にお馴染みの特車二課キャラクターもどうなるのかなど、当分妄想やら考察やらが捗りそうです。

アニメビジエンスの表紙

 現在、パトレイバー著作権を管理している「株式会社ジェンコ」が編集しているアニメ業界誌「アニメビジエンス Vol.14」(2018年4月初旬発売)の表紙に、野明のイラストが載っています。

anime-busience.jp

これはアニメーター・キャラクターデザイナー梅津泰臣さんが描いたものと表紙にも書かれていますが、氏のブログでその辺のことが書かれています。

nailwonder.blog44.fc2.com

この記事を読めばわかりますが、アニメビジエンス側から作品と無関係な方に表紙絵を依頼し、さらに自由に描いていというオーダーをしているらしく、既刊を含め他の号も同様な模様。そんな理由から、この野明のイラストはEZYとは直接関係はないと見て良いのではないでしょうか。

2018年7月12日追記 グッズ

 東京アニメセンターの企画展「アニメと鉄道展」という催しで、パトレイバーEZYのタイトルロゴ(2017年フランスアヌシー映画祭見本市で公になったポスターと同じもの)を使ったグッズが多数販売されるそうです。

hobby.dengeki.com

 アヌシーのアニメ見本市以来、パトレイバーEZYの表立った動きがありませんでしたが、株式会社ジェンコと共同企画でグッズを発売する会社が複数出てきたというのは、水面下で方々にアプローチしてる証拠ですね。しつこいようですが健康に気をつけて待ちましょう。

今後

 新作が待ちきれなくて痺れ切らしてる人もいるようですが、アニメは企画の立ち上がりからスタッフ・キャストの正式発表、もしくは放送・上映までに最短で2年~それ以上はかかると聞きます。

 しかもこれだけ大きな作品ですし、真木プロデューサーも色々構想があるようですから、そうすぐに出来上がって来る物でもないでしょう。EZYと同時にジェンコで扱うことが発表された、浦沢直樹原作漫画『PLUTO』もその後動きは聞こえてきませんし。

 EZYの放送なり上映が30周年中に有るのか無いのか分かりませんが、その時のために体調に気を付け待ちましょう。

 

 

 それと「ヘッドギアはパトレイバーの権利を第三者に譲渡したので、30周年が半年過ぎようとしてもイベントやコラボがない」みたいなことを書いてる人がいるんですが、何を根拠に言っているのか怪しいので、信憑性はないでしょう。

 あまり知られていないのかもしれませんが、ヘッドギアというのは原作者グループ名だけでなく、権利会社としての形もあります。このことについては、出渕さんがインタビューなどたまに発言しているので、ご存知の方もいるでしょう。そして、このヘッドギアの住所は株式会社ジェンコと同じになっています(この辺は一般に公表されている法人番号で調べると分かることです)。

 数年前にジェンコの真木社長がFacebookで投稿していた通り、現在ジェンコパトレイバー著作権管理を任されているので、この株式会社ヘッドギアというのはパトレイバーの権利会社であるヘッドギアとみて間違いないでしょう。

 また、ガレージキットなど造形物のイベント「ワンダーフェスティバル」では、個人が作った版権物を販売するために版権元に申請が必要なのですが、パトレイバーはもう何年も版権申請窓口は東北新社でした。しかし、何回か前からジェンコに変わっています。

 この様なことからも、株式会社ヘッドギアは株式会社ジェンコに『機動警察パトレイバー』の著作権管理を委託している形と思われます。なので、譲渡したということではないでしょう。

*1:そのうち1本の実写ポリティカルアクションてのは、かわぐちかいじ原作の漫画「空母いぶき」の実写化映画ということが判明しました。