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ジェリー・アンダーソン原作の新シリーズ開発が発表

 2025年6月8日からフランスで開催されている「アヌシー国際アニメーション映画祭」でジェリー・アンダーソン関係のプロジェクトの発表がありました。

 それによると、ワーナー・ブラザース・アニメーションの一部門であるハンナ・バーベラ・スタジオ・ヨーロッパは、ジェリー・アンダーソンの作品に基づき、アンダーソン・エンターテインメントとの共同制作で、新作シリーズ「ヒット・スクワッド」を開発中とのこと。

 作品タイトルは『ヒット・スクワッド』で、1990年代のロンドンを舞台にしたスパイ・アクション・コメディ。

 「スーパーマリオネーション」スタイルと現代のデジタル効果を融合させ、1980年代に考案されたスパイアクションコメディを現代に蘇らせることを目指しているそうです。

 『ヒット・スクワッド』は『テラホークス』と並行して開発された作品で、アンダーソン・エンターテイメントのウェブサイトに詳しい記述があります。項目18のところです。

gerryanderson.com

 

 今回のプロジェクト形式としては人形劇で、大人向けの新世代スーパーマリオネーションと表現されています。これはジェリー・アンダーソンが開発した革新的な人形劇技術へのオマージュで、その進化形ということのようです。

 監督はダレン・ウォルシュ(「レゴ シティ アドベンチャーズ」「アングリー・キッド」「ひつじのショーン」など)、プロデューサーはラッセル・マクリーン。

 このような情報が出ること自体はうれしいのですが、前に開発が公表されたテラホークスのリメイクだかリブートだかもその後音沙汰がありませんし、ちゃんと製作されるのか少々懸念が残ります。

 

mech.hateblo.jp

 

 ただ、以前日本で製作されたアニメ『ファイアーストーム』の人形劇パイロット版を製作するためのクラウドファンディングが行われ、ちゃんろ完成したのを覚えている方もいらっしゃると思います。今回の発表を読むと、あのパイロット版と同じ「実写とデジタル効果」の組み合わせなので、『ファイアーストーム』パイロット版が作品を変えて企画が通ったのかもしれません。

 

mech.hateblo.jp

 

海底大戦争スティングレイの舞台裏

 映画『サンダーバード55/GOGO』(日本題)を制作したCentury 21 FilmsのYouTubeチャンネルがあるのですが、そこでジェリーとシルビア・アンダーソンが制作した作品などの関係者インタビューや活動の動画をたくさん公開しているので今後紹介していこうと思います。

 YouTubeの自動字幕生成と翻訳機能を使うとなんとなく分かると思います。本当は自動生成ではない英語字幕が付与されていれば、もっと誤訳が少なかったり意味が分かる翻訳ができるのでしょうが、残念ながらありません。

 以下の動画では、日本語番組名『海底大戦争スティングレイ』(トニーの海底大戦争とも呼ばれる)の制作秘話が語られています。

 プロデューサーのルー・グレードがアンダーソン夫妻の会社を買収し、作品制作のために大きなスタジオへの移転や高価な撮影機材の購入などを惜しみなく資金提供したこと、そしてテレビ番組制作におけるカラー映像の初期の試みと課題が語られています。また、水中シーンの撮影における革新的な技術の開発や、登場人物の魅力がストーリーの展開に影響を与えた経緯なども述べられており、このシリーズが技術革新と創造性によって生まれたことが分かります。

www.youtube.com

ATVによるアンダーソン社の買収

 ジェリー・アンダーソンは、ルー・グレイドによる会社の突然の買収提案に対する最初の驚きと反発について語っており、彼は「彼が私の会社を買いたいと思ったなんて、なんてずうずうしいと思った」と述べています。

 グレイドはアンダーソンの制作物、特に「過去作を含め多くの番組作品が放送可能な状態だった」こと、そして「マーチャンダイジングマーケティング、番組のマーケティング価値」の潜在的な価値を認識したようです。

 最初は不快感を抱いたアンダーソンですが、英国のパール&ディーンという映画館広告会社からも買収提案があったこと、そしてグレイドが提示した金額を聞いて考えが変わり「なんていいアイデアだろう、彼が私の会社を買うなんて」と述べています。

 買収後、会社は「より大きく、より良い場所」に移転するため、新しいスタジオを確保しました。この新しいスタジオは「2,500平方フィートの工場を7年間リース」し、「操り人形のフィルムスタジオ、独自の映写室、独自のセット建設部門、編集室、事務所、すべてを一つの屋根の下に」備えていました。

 買収は財政的な自由をもたらしました。ジェリー・アンダーソンは「5台のミッチェルカメラを買う必要がある」とグレイドに電話し、このカメラが高価であることを伝えたところ、「だから?許可を得る必要はない。買ってしまえばいい」と言われたと話しています。


『海底大戦争スティングレイ』のコンセプトとキャラクター

 これまでの作品が宇宙や砂漠などを舞台にしていたことから、「次は何か?」と考え、「水中シリーズ」というアイデアに至ったと語っています。さらにシリーズの核となる要素として、「スティングレイは非常に深いところまで行ける潜水艦だった」ことを挙げ、これによって「水中に住んでいる生物の種族」が発見されることになったと。

 主要キャラクターは「マリンビルに拠点を置くトロイ・テンペストとフォンズ」であり、「ショア司令官が責任者」。物語は「スティングレイと水中に住んでいる生物の種族の間の戦い」を中心に展開した。

 女性キャラクターとして、「アトランタ」と「人魚のマリーナ」が登場。両者とも「非常に魅力的」であり、アトランタとマリーナの「両方がトロイ・テンペストに恋していた」ため「二人の間に嫉妬が生じた」と述べています。

 マリーナは話さないキャラクターとして描かれており、彼女のコミュニケーションは主に「泳いだり、頷いたり、目をきらめかせたり」することでした。しかし、シリーズの後半で彼女が考えを伝えることができるようになるという展開が導入され、「それは単に変化をつけるためだった」と説明されています。

 ショア司令官が「車椅子に乗っている」という設定も、「違いを出すため」の意識的な努力の一環であるとも。


パペットの進化とキャラクター重視への移行

 当初、「人形たちの見た目を良くしていく」ことに特に焦点を当てていたわけではないと述べています。しかし、「操り人形を製作している人々が、それらをますます良く、見るからに魅力的にしていった」結果、「画面にハンサムな男性と魅力的な女性がいることで、脚本家の一人が必然的に、ある程度の嫉妬が示されるシーンを書くようになった」と説明。

 アンダーソンは、完成した映像を脚本家たちに見せ、「それは良いアイデアだ。それを発展させよう」という自然な流れでキャラクターの描写が深まっていったと語っています。

「人形がまだ初期の段階で見た目が洗練されておらず、「恐ろしい」と感じられるような状態であったなら、そのような人形たちが恋愛関係にあるという設定や描写は観客にとって真剣に受け止めるのが難しく、むしろ滑稽に映ってしまい、笑いを誘っていただろう」と述べ、外見の改善がキャラクターの感情的な関係性の描写を可能にしたことを示唆しています。

声優の選定

 アンダーソンは、声優の選定について、「非常に良い声優たちを得ていた」と。

 声優を見つける方法として、「何か別の作品で彼らを見たり」することがあったが、「主に俳優であることに加えて、適切なアクセントを探していた」と語っています。

 多くの俳優を起用していたため、「エージェントが時々不適切な人々を送ってくることもあったが、時々ぴったりな人もいた」とのこと。

 特に、ロイス・マクスウェル(「ミス・マネーペニー」として知られる)をキャスティングできたことを喜んでおり、「彼女の声には非常に良いトーンがあった」と述べています。「ちょうどショア司令官と一緒に仕事をするのに適切な資質を持っていた」と。

 レイ・バレット(後にサンダーバードでジョン・トレーシーやザ・フッドの声優)も声優として起用されており、「彼はいつでも大きくてタフな男だった」と語られています。


カラーテレビへの移行

 アンダーソンは、アメリカへの旅行中に初めてカラーテレビを見た時の衝撃を語っています。「私たちはただただ驚愕した。ただ『マイゴッド、あの黒と白のやつを見てくれ』と思った。これでは競争できない」と。

 当時のカラープロセスは「テクニカラー」であり、「3本のリール、1,000フィートのリールがカメラの中で同時に回転する非常に複雑なプロセス」でした。「カメラは非常に重く、持ち上げるのにブロックとタックルを使ってドリーや三脚に乗せなければならなかった」と、その大変さを説明。

 しかし、コダックが「一本のフィルムストリップ」を開発したことで、「突然、テレビの映像を制作していた私たちが、それをカラーで作ることが可能になった」と、その技術革新の重要性を述べています。

 カラーへの移行は未知の領域であり、費用がかかっていたとも。アンダーソンは、慎重なアプローチとして、カラーテレビをすでに制作していた「アメリカのネットワークにレッグ・ヒルを送った」と。

 レッグ・ヒルが戻ってきてセットを見た際に、「あの色は使えない。塗り直せ。深い緑色は使えない。赤はダメだ。滲む」と、カラー撮影における色の制約について助言があった。このため、「すべてのセットを引き裂いて、再構築しなければならなかった」とも。

 カラー撮影の先駆者として、「他の大きな制作会社のライブアクションの人間たちが、私たちにアドバイスを求めてくる」ようになり、「私たちを有名にした」と、その影響も語っています。

 しかし、アンダーソンを「本当に動揺させた」ことの一つは、カラーで撮影し、カラープリントを作成したにも関わず、「リリース用の白黒プリントを作成するために、白黒ネガティブを作成しなければならなかった」ことでした。

 これは、イギリスの放送技術的な問題で白黒で放送されたためです。カラー放送が開始されて以降の再放送でカラー放送を見た子供の逸話として、母親に駆け寄って「ママ、色が付いてる!」と言った」という話も。

水中撮影技術の革新

 ジェリー・アンダーソンは当初、「防水のスティングレイを作り、大きな水槽の中で実際に水の中を飛ばす」というアイデアを持っていましたが、レッグ・ヒルが「そんなことはできない。十分大きな水槽を作ったとしても、水の圧力が非常に大きくなる。それを保持するには鉄骨などが必要になる」と反対したとのこと。

 代わりにレッグ・ヒルは、「非常にシンプルだが非常に効果的なアイデア」を考案した。それは、「水槽を作り、その水槽越しに撮影する」というもの。

 水槽の後ろには、「海底が描かれたサイクロラマ(別名ホリゾンド)、いくつかの岩、海藻」が配置されました。さらに、「同じ種類の魚だが、異なる年齢の魚」、つまり「小さな稚魚」と「大きな魚」を水槽に入れました。

 この技術により、「水槽越しに撮影することで、スティングレイがこの水槽の後ろを飛んでいるように見え、小さな魚はカメラから非常に遠くに、大きな魚は非常に近くに見えた。」と説明しています。

 これが「大きな奥行きと遠近感」を生み出し、「シリーズの成功に貢献したおそらく最大の技術的貢献だった」と強調している。

 さらにレッグ・ヒルの慎重さを示すエピソードとして、水槽の崩壊を心配した彼は、「ロンドン動物園で使用している水槽の製造業者に依頼して、水槽を作ってもらった」ことを挙げている。実際に撮影中に水槽が崩壊する事故が起こったことも語り、「もし撮影中に起こっていたら、 重大な怪我を負っていただろう」と。

シリーズの進化と将来への展望

 アンダーソンは、『海底大戦争スティングレイ』を「最高初期の番組の一つ」であり、「進行中の作業」と見なしています。進行中の作業とは、常に更なる改善や挑戦を続けるべき対象であり、後のより大きな成功につながるための重要な通過点であったという認識のようです。

 各シリーズを作るごとに「ああ、あれをやってみたかったな」と思うようになり、「少しずつ改善したり、ここでは少し大胆にしてみよう」と挑戦していったことを語っています。

 『海底大戦争スティングレイ』は、「私たちが行っていたことの新しい時代の始まり」と感じており、その後の作品への繋がりを示唆しています。

Obsidianを用いたローカルLLMでの文章自動補完機能

 CursorというAIコードエディターがあるのですが、そのAuto complete(自動補完)機能を利用して文書作成するというネット記事をちょっと前から見かけます。

 この機能をローカルLLMで使えない物かといろいろ調べた結果、Cursorではなく、Obsidianというソフトで同様のことができました。Cursorでもローカルでというアイデアの記事をいくつか見つけたのですが、当方では上手くいかず……

 方法としては、ollamaでLLMを走らせて、ObsidianにCompanionというコミュニティプラグインを入れることで出来ました。ollamaで走らすLLMを何にするかで、補完の文章が変わります。私の環境(RTX3060 12GB)では Gemma3:12Bを利用しています。

 最近見かけるウェブ記事でも書かれていますが、補完といっても提案された文章がそのまま使えるかは書く文章の内容(小説とかレポートとか記事とか)によって異なるでしょうが、次の文章が出てこない……と煮詰まるとき、突破口になるときもあります。それにローカルなので安心できるところもあるのではないかと。

 

obsidian.md

github.com