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伊香保温泉獣人の足跡発見場所を訪ねた

Unidentified Mysterious Animal

 皆さんは「伊香保温泉獣人」というUMAをご存じでしょうか?2006年に、群馬県伊香保温泉近辺で足跡らしきものが撮影された、未確認生物とされるものです。東スポによると、命名はオカルト研究家・山口敏太郎氏。氏のブログや執筆したウェブ記事にも同様のことが書かれています。

 足跡らしきものしか発見されていないので、そもそも獣人なのか不明。なのになぜ獣人になったかと調べてみると、周辺で2足歩行するタイプの謎の生物を目撃した人がいるらしい(具体的な人数は不明)。

 名前からすると、群馬県伊香保温泉近くで足跡が見つかったもんだろうなあと思う方がほとんどだと思いますが、そうではありません。

場所

 私は群馬在住なので、伊香保のどこで見つかったのかずっと気になっていました。そして最近になって作家でUMA研究家・中沢健氏のYouTubeチャンネルにてとある動画が公開されました。海外のUMA研究家が伊香保温泉獣人などの調査のために来日。その調査に同行した動画がそれです。その動画の中に、足跡発見場所の風景映像が!たまたま行ったことのある場所だったのですぐ分かりました。

www.youtube.com

地元群馬の獣人系UMAの情報が、この様に話題になることを喜ばしく思っていたのですが、

見てビックリ!伊香保ではない!

ということで、よし行ってみよ。ということで、撮影したきた画像はこちら。

 なぜ、いままで場所が不明だったのかというと、この足跡発見を最初に報じた東スポ山口敏太郎氏が明らかにしていなかったからです。山口氏はブログやウェブ記事などで、近隣住民が怖がっているから場所を明らかにしない、としていました。

 東スポの記事には、"人里離れた場所"と書かれていますが、発見場所から100m以内に家もある、200m以内には公共施設もある場所です。

blog.goo.ne.jp

www.tokyo-sports.co.jp

 この場所は個人の所有地でもなく、公園です。さらに未確認生物の襲撃を恐れる以前に、このエリア(合併前の市町村区割りのこと)はイノシシやサル、クマなど野生動物が出没しており、そっちの方がよっぽど危険な場所です(この場所に限らず、この赤城南麓エリアでは動物出没はたまにある)。しかし、地名や番地を出すのはやめておきます。ただ、立地としては桜の名所と知られる水力発電所の調整池に隣接する公園だと言っておきます。

 この足跡発見場所は、伊香保温泉を知っている人がイメージするであろう石段街から以下のように離れています。

Ikaho Onsen 03.jpg
CC BY 2.1 jp, リンクによる)

  • 直線距離で12kmほど
  • 道路で向かうと14kmほど(自動車での移動にかかる時間は道路状況にもよりますが、信号の多い街中を通過しないといけない。さらに伊香保温泉と足跡発見場所の間には利根川が流れており、この川にかかる橋はそう多くないのでどこにいても橋まで移動しなければならず、約20~30分はかかります
  • バス移動では1時間半前後(乗り継ぎあり)
  • 徒歩では3時間かそれ以上はかかるでしょう(休憩ありの場合)

 伊香保温泉は榛名山にありますが、足跡発見場所は赤城山です。しかも、利根川を渡らなければならない。そして利根川の榛名側は多少断崖な箇所もありますが、おおむねなだらか。しかし、赤城側が高低差のある断崖が多いです。この地形で昔の人は苦労し、榛名側の三国街道の裏街道として、赤城側の沼田街道が使われていました。

 移動するには、榛名山側から利根川が流れる渋川市街まで下り、そこから赤城山側に登って行くことになります。ちなみに標高は、伊香保温泉石段街が750メートル前後。渋川市街が180メートル前後。足跡らしきものがあった場所は250メートル前後です。

 下の図は伊香保温泉石段街と足跡発見場所の2点を直線で結んだ時の断面を高低差で表したものです。一番低いところが利根川。その右に急に高くなっているところがありますが、これが前述の断崖状になっているところです。

高低差

 どちらも関越自動車道の渋川伊香保インターチェンジが最寄の高速ICではあるものの、西と東で反対に位置しています。また、どちらの場所も現在は渋川市なのですが、平成の大合併前はどちらも渋川市とは別の市町村でした。

方位は上が北です

 現在の渋川市民、極端に地理に疎くない群馬県民に「発見場所は伊香保か?」と尋ねれば、9割は違うと回答すること請け合いです。

名前

 初報である東スポの記事では

仮に伊香保温泉獣人と名付け

と書かれています。しかし、ずっと名前はこのままです。

 地理的な調査をしたのか甚だ疑問ですが、伊香保でもないところに伊香保と名のつけた獣人が居るかもしれないといっても、地元の人間の理解を得られないんじゃないでしょうか?そんな状態では、伊香保でグッズを作ろうとか、町おこしに利用しようという機運も高まらないでしょう。

 今のところ伊香保温泉獣人が大々的に新聞報道されたのは東スポだけのようですが、コラムみたいなものだと朝日新聞とかでも書かれた事があります。そのため、その読者とUMA本を読んでいるUMAファンくらいしか知名度が無いようです。まずこれをどうにかしないことには……

---追記---

 私がこのUMAのことを知ったのは、だいぶうろ覚えなのですが確かテレビです。テレ朝のビートたけし超常現象SP系の番組だったような……。確か画像が映っただけで、時間を割いて特集されたとかではなかった。

あとは2022年7月10日に日本テレビ系『シューイチ』で未確認生物の今昔特集があり、スタジオのUMAの名前がたくさん書かれたパネルに伊香保温泉獣人の名前がありました。この番組の司会者で「ぐんま大使」の中山秀征氏が食いついていたのが印象的です。あの反応だと、今まで知らなかった感じでした。

---追記ここまで---

 

 伊香保温泉獣人がキャッチーな名前というのは分かりますが、発見場所とはかけ離れた場所である「伊香保温泉」という言葉を使わなければならないほど、周辺に世間的に名の知れたランドマークがないということなんでしょうか?

 赤城の知名度も割とあると思うんですよね。高い年齢層なら国定忠治の話で。中年層でもTBSで散々放送された『徳川埋蔵金大発掘』で。それより少し下あたりからだと、2度のアニメ化や、海外での人気から日本ではなく海外の資本で実写映画化された漫画『頭文字D』でとか。スマホゲームの艦コレにも赤城出てきますし。立地や位置関係はともかく、名前だけなら聞いたことのある人は伊香保と大して変わらないのではないかと。

 獣人系UMAとして有名なヒバゴンですが、名前の由来である比婆が指すエリアはとても広いようです。しかし伊香保温泉が指すエリアはもっと狭く、伊香保町としても5km四方に収まる広さ。そこまで広くありません。

 そういうところを踏まえれば、例えば、赤城山獣人とか、赤城山(南麓・西麓・南西麓)獣人とかいう名前の方が場所も正確ですし広いエリアを指すので、同様の目撃や発見があった場合に「もしやあの獣人では」と疑いをかけることが出来ます。 

 温泉獣人という他にはないであろうキャッチーな名前を使うために、本来の場所から偽ってでもこの名前を使うか。キャッチーではなく、耳にそんなに残らないであろう本来の場所を指す名前を使うか……

 動画を公開した中沢さんも、距離が離れている印象を持ったそうです。さらに伊香保の観光案内所で伊香保温泉獣人について尋ねたそうですが、案内所の人は知らなかったとのこと。

 そもそも伊香保は町おこしする必要もないくらいに名が通った温泉地ですし、町おこししようという発想自体がないのかも。頭文字Dもどちらかというと伊香保の街中というより渋川市街地でキャラクターマンホール設置したりしてるのもそういったことの表れなのかも。