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パトレイバーのアンダーソン作品オマージュが本家に伝わる

 『機動警察パトレイバー』のテレビシリーズ第44話「CLATよ永遠に」は、オマージュが多いエピソードです。主にジェリー&シルビア・アンダーソン作品や『空飛ぶモンティパイソン』といったイギリス作品が特に目立ちます。

 今回、そのオマージュが本家に伝わりました。故ジェリー・アンダーソンの息子らが配信している動画シリーズがありまして、その中でアンダーソン作品が影響を与えたアニメーション作品について取り上げられたことがありました。その際に他にそういう作品を知っていたら教えてね、というやり取りがあり、視聴者からお便りが届いたという流れです。

↓この動画の15分55秒辺りからです。

www.youtube.com

 お便りを読んでいる人物が、息子のジェイミー・アンダーソン。もう一人はジェリー・アンダーソン最後のライブアクション作品『スペース・プリシンクト』の出演俳優リチャード・ジェームズです。

 『機動警察パトレイバー』については知らなかったそうです。息子氏はツイッターで他の人が投稿していた「CLATよ永遠に」の画像を見たそうで「著作権違反なオマージュだけど、オマージュはオマージュでいいよ」というようなことを言っていました。

 確かに明らかに『キャプテンスカーレット』のスペクトラムの制服やメカデザインを基にして、パトレイバーの原作者グループの一人であるデザイナーの出渕さんがリファインしてますが、ぱっと見まんまです。

 この「CLATよ永遠に」についての補足情報としては、原作者グループの一人で脚本家の伊藤さんが言及していることがあります。それは、パトレイバーが最初にOVAとして始まり、劇場版が作られ、脚本担当としての仕事はひと段落出来るかと思っていたところに、急にテレビシリーズ化が決定し、テレビシリーズの現場へ突入。

 さらに全24話としてシリーズ構成を練り上げていたのに、急にテレビシリーズの延長が決まったために、精神的にも非常に疲弊していたそう。そしてシリーズも終盤となり、やっと自由にシナリオを書ける状態になって書かれたのが「CLATよ永遠に」だという話です。

 DVDコメンタリーによると、オマージュとして日本の作品ではなく英国の作品を取り上げたのには訳があったそうです。それは一番最初のOVAで日本の東宝怪獣映画のオマージュ回があるのですが、出来上がってみるとこれが内輪で評判がよろしくなかったそう。そこで今回は少し距離のある(これは物理的な距離の話ではない)英国の作品をピックアップしたということらしいです。

 細々としたアンダーソン作品へのオマージュは、最近だとポケモンのアニメ(サンダーバード2号みたいなのが2号と似た発進する等)でもあったようですが、元の意匠がここまで残った状態で物語が作られているのも他にはあんまりないでしょう。

 ちなみにアニメのパトレイバーの製作元には、数多くのアンダーソン作品の国内配給や権利を有してきた東北新社が名を連ねています。だからと言って特に関係があるとは思えませんが、こういう接点もあるのだなぁと。