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映画『サンダーバード55/GOGO』声の出演陣発表

新キャスト発表

サンダーバード55の日本語吹替版・声の出演者が発表されました。

www.youtube.com

tb55movie.com

 アラン役の声優が出ていないのは、映像には映るものの彼が喋らないからです。これは元のレコードに録音されたドラマで映像がないので、喋らない場合にそのシーンに居るかどうか正確に分からない場合があるというのもありますが’、分からないというのを逆手に取って、映像化では登場させているのは良い所でしょう。そして、アラン以外でもセリフはあるけれどかなり少ないキャラもいます。

 映像化された3エピソードはレコードの録音そのままではなく、全く新規に録音されたセリフとテレビシリーズのエピソードからセリフを流用した部分を付け加えた部分があるので、アランも「リフトオフ」の一言ぐらい欲しかったと元の3話を見た時思いましたが、たぶん構成上の都合とかいろいろあったんでしょう。

 それと、55という名の元になっている日本放送55周年ですが、来年の春まであります。そういうこともあってか、庵野秀明氏が手掛ける『シン・コンプリート・サンダーバード』の放送も2022年(時期不明)となっています。55の公開は年明けすぐなので、55周年の展開というのは映画の上映と共に収束していくという訳ではなさそう。ただ、現在の公式Twitterの運用頻度やその投稿内容についてはかなり疑問があるので、長くやれば良いというもんでもないでしょう。また、開設すると言っていた公式YouTubeチャンネルの開設時期や内容にも期待。

字幕版は?

 55のタイトルロゴには「日本語劇場版」という文字が躍っていますが、これは映画館でかかる分については全て日本語吹替版でということなのでしょうか?55公式サイトのスタッフリストには特に「日本語字幕 ○○」とも書かれていないので、吹替版オンリーの可能性が高い気もします。

 元の3エピソードが制作された趣旨からいえば字幕版は必須だと思いますし、せめて1日1回は字幕版を掛けて欲しい所ではあります。しかし、この辺は上映館判断なので、例え字幕版があったとしても、趣旨を理解して字幕版の割合を調整してくれるか微妙なところでしょう。オンライン上映も1日遅れで開始されるそうなので、そっちでは選択可能とかだと良いんですが、どうなるでしょうか。

 それと、上映館で『サンダーバード55/GOGO』のブルーレイが先行発売されるとこのとです。この辺は数年前から増えている手法ですね。この手法を取る作品の中には、先行販売分に特典が付くものもあるのですが、55がどうなのか今の時点では不明。詳細は順次知らせていくとの事なので、待ちましょう。

テレビシリーズの吹替版

 今回も劇場版のいくつかの新録と同じく、何の耳慣らしもなく新配役での声を聴くことになるわけですが、出来ればやはりテレビシリーズ全32話(どうせなら劇場版も)をこの新配役で吹替新録音して放送して欲しかったです。

 1話50分前後のが32本もあるのでそれだけ予算もかかるのでしょうが、スターチャンネルのような割と月額料金が高い所で加入キャンペーンを行ったりしてるんですから、なんとかして欲しかったですね。

 あと、ここで声を大にして言っておきたいのは、別に新録したからって1966年放送時に作られた吹替版を今後使うなとか、今後4Kビデオソフト化の際に収録しなくていいと言っているのではありません。

 この66年の吹替版については、販売元バンダイビジュアル(エモーション)、発売元東北新社で一番最初にDVD化した際に作った疑似ステレオ版を、それ以降ブルーレイまで使い続けていることに非常に憤慨しています。元々の状態の音声を収録した商品をいずれ出して欲しいですし、ブルーレイ化の際に欠落していた吹替部分を録画テープから復活させたときに、なぜ疑似ステレオ化から元のモノラルに戻さなかったのかとか、あります。

 ブルーレイ化時に復活できなかった欠落部分は、原語音声+日本語字幕になりますが、この方法が良いのかは私にもわかりません。私が子供の頃には地上波でカット編集された上に前後編に2回に分けて放送されていた状態だったので、完全版があるなんて知らなかったですから。

 ビデオソフトじゃなくて放送で吹替版を見ていたら、(番組冒頭でその旨テロップが出るとしても)急に英語になってビックリした経験があるのは、LDとかで完全版が出て以降のCSで放送するようになった90年代に見た層じゃないですかね。それで何年もCS放送でやってきたので問題がないといえばそうなんでしょうが。

 映画のブルーレイによっては、テレビ放送用のカット編集された映像用に作られ、元々全長版で吹き替えが存在していない作品の中には、ブルーレイの機能を利用して吹替がある部分のみ再生する機能を備えた商品もありますが、サンダーバードのように32話もあると、ディスクの容量や枚数が増えて高価格になったりと考えられます。そもそもカットしている時点で…という話もあるでしょう。

 あとは、欠落部分を追加新録音する形でしょうか。これは声優さんが故人であった場合とか引退していると言った場合に、別人で録音されます。これはCSの映画専門チャンネルとかで良くやるんですが、中には元々声が似てない、似せる努力をしてるのか?と感じる追録作品ももあります。

 新録音は、キャストの変わった吹替は受け付けられないという方を除けば、滞りもなく物語を楽しめると思います。なにせ欠落がない、急に声が変わるという事がないわけですから。翻訳についても放送当時に日進月歩だった宇宙技術関連用語の誤訳とかありますし、字幕版でもファイアーフラッシュのエンジンリヒート(再燃焼)時の掛け声がマッハ3と訳されれてたり、そういうのも訂正できるでしょうし。

 

 

 サンダーバード55の興行収入が良かったら、個人的にはぜひとも新キャストでテレビシリーズと劇場版を新録音して欲しいですね。しかし、今の地上波テレビ(特に在京キー局)ではそもそも再放送枠の存在感は薄いし、サンダーバードが1時間に近い枠か前後編に分けなければいけない(放送期間が長期に及ぶ)ので、地上波でのテレビシリーズセレクション放送ならともかく、全話放送の可能性はかなり低いと思っていますが。

 衛星波でという事の方が可能性がまだありそうです。なにせ民放4K放送は放送する番組のラインナップを見てると、4K番組不足なのではと思うくらいですし。

bangumi.org

NHKでは『刑事コロンボ』『大草原の小さな家』(吹替新録音)『シャーロックホームズの冒険』『ウルトラQ』『ウルトラセブン』というフィルム撮影の昔のドラマを4Kリマスターで放送してますし、フィルム撮影作品というのは4K放送番組になり得るものとして需要があるのでしょう。

 割と高めの料金を取る有料放送とか、4Kでの番組供給が局の立場上重要であるNHKの4K放送とかでないと、シリーズ物の吹替新録音なんて機会は、まずないでしょう。

 サンダーバードが好きな人間としてはあんまり言いたくないですが、地上波テレビの番組編成傾向などからも、この作品がこういう風に世間から再注目される機会は、もしかしたら55周年のこの展開で最後かもしれないくらいに思っています。

 地上波テレビの影響力を利用した作品の周知は、キー局の昔の作品に対する扱いから『サンダーバード』に限らず他の過去作品でも難しいでしょう。そういうのは、CSで程度定期的に放送したり、配信でいつでも見られるようにしたりで、一定の認知を図っていくことが作品が語られて続けて行く地道な形だと思います。サンダーバード人気を支えてきてくれた団塊世代の人数が圧倒的に多いので、いまはまだいいとしても、今後20年30年経ったときに日本のサンダーバード周辺事情がどうなっているか。やはり語られなくなったときこそ作品の死であると思いますし、サンダーバードのような類を見ない物語を埋もれさせるのは勿体ない。