新作パトレイバーEZYはあれから30年後の話?

パトレイバーの続編

 10月5から12日に山形県で開催「山形国際ドキュメンタリー映画祭」の1企画で、ヘッドギアの伊藤和典さんがトークイベントに登壇したのですが、

その際に現在手がけている作品が2本あるとし、そのうち一本がパトレイバーであるとの話が出たそうです。

 

 今回の山形のトークイベントに参加した他の方にも伺ったところ、同じような返答を頂きました。それによると、伊藤さんはEZY(イジー)のタイトルを話に出して30年後の話と仰っていたそうです。

 今までプロデューサーやヘッドギアの一部メンバーが新作のことを言っており、その度に記事を書いてきました↓

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新作・パトレイバーEZY カテゴリーの記事一覧 - よろず手控え帖

 2017年2、3月にベルギーのアニメ映画祭で行われた真木プロデューサーのインタビューで、2030年というキーワードが出てはいました。しかし上の記事を書いた時点では「物語を最初からやり直すパターンのリブートやリメイク」なのか、「いずれかのシリーズの続編」なのかがハッキリしていませんでした。

 ところが今回、日本でヘッドギアのメンバーの口から「30年」という具体的な話が出てきた訳です。

 正確にどう発したのかは映像等がないので分かりませんが、Twitter投稿者やイベント参加者から出る「30年後」「30年経過」という語句からしても、基準となる年がある訳ですから、初期OVA、テレビシリーズなど、どれかのシリーズの続編と考えるのが自然でしょう。

 しかしパトレイバーのシリーズはパラレルワールドなので、「1998年に警視庁特車二課に第2小隊が設立されたが、特車二課は我々が知っているのとは全く別のメンバーだった。そしてその30年後の物語」とか、パラレルワールドだと色々出来る可能性もなくはないので断言はできませんが、さすがにこんなトリッキーな事は無いか。

 あとはEZYのポスターにあるイングラムはどういう扱いなのかと言う点。上に挙げた記事にも書いたのですが、9月に公開されたラジオで真木プロデューサーが語ったところによると「シナリオもまだ出来ていない」そうです。今回の山形のイベントでも伊藤さんが「まだポスターしかない」という話をしたそうなので、あれは単に宣伝用ビジュアルである可能性も?

 それともピースメーカーなど後継機を何らかの事情で放逐し、イングラムスーパーカブみたいに基本設計の多くが継承されて30年使われてると言うことなのか?他に何かひと捻りあるのか?今のところ謎です。

 更にお馴染みの特車二課キャラクターもどうなるのかなど、当分妄想やら考察やらが捗りそうです。

30年経過

 2016年10月15日(土)開催「機動警察パトレイバーREBOOT」公開記念トークイベントで、今後の展開について聞かれた出渕さんは「具体的に何も決まっていない」としながら、以下のように発言していました。

↓ニコニコのアカウントを持っていれば、アーカイブが無料で観れます。

live.nicovideo.jp

でまあそれで、やるとすればパトレイバーって常に何かこう、その放映もしくは上映されている時代よりも10年後先みたいな。設定はそうなんですけど、でもやってるのはその同じ時代っていうの、風景っていう形なんですけど、そういうスタンスになるんじゃないかなという感じはしますけどね。

出渕さんの言っていた、

  • 放映もしくは上映されている時代よりも10年後先設定
  • でもやってるのは放映上映時代の風景っていうスタンス

というのを考慮すると、機動警察パトレイバーという作品が発売された1988年の30年後(2018年頃)の物語ではなく、劇中で物語の始まりとなった1998年から30年後(2028年頃)。若しくは、パトレイバー2 the Movie(2002年が舞台)の30年後、2032年前後の物語という可能性が高いのでは。

 どっちにしても、この下の項目で取り上げた真木プロデューサーが「アニメはオリンピックまでにやりたい」というのが2020年の東京大会だとすると、その10年後である2030年が舞台というのは、出渕さんの発言からも可能性が高いと思われます。

 新作が公開なり放送される時期にもよるんですが、放送が2020年前後としてもまだ先になりますね。

 

作品の発表時期は?

 発表時期については、2016年12月に真木プロデューサーがゲストで呼ばれたこ

youtu.beネット番組では、

岡田「どの辺まで算段ついてるんですか?」

真木「とりあえずアニメはオリンピックまでにはやりたいと思ってます」

と語り(↑の動画の42分経過のあたりから)、その翌年2017年9月に公開されたネットラジオ番組では

agonp.jp

真木「今新しいアニメーションを作り始めてます。作り始めてますって言ったって、まだシナリオも出来てないから。ま、一体何年にね……」

<略>

真木「いわゆるシリーズ+映画、計画中で、何年になることやらね」

と語っています。

  他には上で書いた出渕さんが登壇したイベント中継で、「具体的に何か動いている訳ではない。ただし、何しろ再来年の2018年が30周年なので」というようなことを言っていました。

 さらにヘッドギアの伊藤さんは、2017年6月にフランス・アヌシー映画祭で公表された「パトレイバーEZY」のポスターを報じたネット記事に対し、

 と投稿しています。

 

 これらの発言からすると、新作発表の時期についてはまだ発表出来る段階にないが、ある程度の目標としてオリンピック(たぶん2020年の東京大会)ごろという感じでしょうか?

 新作が待ちきれなくて痺れ切らしてる人もいるようですが、アニメは企画から放送・上映までに2年はかかると聞きます。しかもこれだけ大きな作品ですし、真木プロデューサーも色々構想があるようですから、そうすぐに出来上がって来る物でもないでしょう。その時のために体調に気を付け待ちましょう。

イギリスで『キャプテン・スカーレット』ブルーレイ化

 特撮人形劇『サンダーバード』で有名なジェリー・アンダーソンが『サンダーバード』のあと、1967年に製作した『キャプテン・スカーレット』がイギリスでブルーレイ化されます。

gerryanderson.co.uk

Captain Scarlet and the Mysterons 1 [BLU-RAY] [PRE-BUY] / Network On Air

 発売するNetwork Distributingの予約ページやアンダーソン公式サイトによると、全4巻で第1巻が2017年11月下旬頃発売予定。この番組は全32話なので、その後2018年にかけて残りの4巻を発売するスケジュール。

 1ディスクに8話分収録。35mmネガフィルムからHDリマスターした映像で、1080p HD / 1.33:1でディスクに収録。英語・モノラル音声、字幕無し。Blu-ray Discで1080pということなので、本編は自動的にフィルムと同じ24フレーム/秒収録でしょう。リージョンBなので、パソコン等は別としても、普通のプレイヤーではヨーロッパ、中近東、アフリカ、オセアニア向けの機種でしか再生出来ません。

 パッケージ色はスカーレットで、Ron Embletonによる番組エンドカードを採用したパッケージカバーデザイン。

↓発売予告PV

www.youtube.com Vol.1に収録されるのは

  1. The Mysterons (日本サブタイトル:「キャプテンスカーレット誕生」)
  2. Winged Assassin(日本サブタイトル:「無人機をストップ」)
  3. Big Ben Strikes Again(日本サブタイトル:「鐘は13鳴った」)
  4. Point 783(日本サブタイトル:「無人戦車ユニトロン」)
  5. Manhunt(日本サブタイトル:「ブラック大尉を探せ」)
  6. Operation Tim(日本サブタイトル:「タイムを追え」)
  7. Renegade Rocket(日本サブタイトル:「消えたロケット」)
  8. White as Snow(日本サブタイトル:「ホワイト大佐を守れ」)

の8話分。イギリス初回放送順ではなく、制作順に収録されていますね。

 10年以上前にDVD-BOXが発売されましたが、現在の販売用ビデオ業界の状態からすると、『キャプテン・スカーレット』の日本盤ブルーレイが発売されるかどうか……。

 ブルーレイがダメならブルーレイ用のHDマスターからDVDのSDへダウンコンバートしたやつか、BOX商品でブルーレイのディスク枚数を抑えられる「ハイレートSD」でも良いので日本語吹き替え入りで商品化を願いたいです。

50周年

 2017年9月29日に放送50周年を迎え、イギリスではその記念で本やCDなどが発売されています。

Captain Scarlet and the Mysterons: The Vault

Captain Scarlet and the Mysterons: The Vault

 
Captain Scarlet Manual (Haynes Manuals)

Captain Scarlet Manual (Haynes Manuals)

 
Captain Scarlet and the Mysterons

Captain Scarlet and the Mysterons

 
Captain Scarlet and the Mysterons: No. 1: The Spectrum File

Captain Scarlet and the Mysterons: No. 1: The Spectrum File

  • 作者: John Theydon,Benji Clifford,Richard Fox,Lauren Yason,Tom Newsom,Liz Morgan,Wayne Forester,David Graham
  • 出版社/メーカー: Big Finish Productions Ltd
  • 発売日: 2017/10/31
  • メディア: CD
  • この商品を含むブログを見る
 

CGリメイク版

 CGでリメイクされた『新キャプテン・スカーレット』もブルーレイ化されたり、

www.amazon.co.uk

Amazonプライムビデオで配信されたり(これは日本でも視聴可能。ただし、英語音声のみで英語や日本語の字幕無し)しています。

New Captain Scarlet→ https://www.amazon.co.jp/dp/B075Y22LPY/

日本放送50周年

 日本では2018年1月が日本初放送から50周年なのですが、2017年9月30日現在日本での新たな商品や展開の情報はありません。同じアンダーソン作品の『スペース1999』は2017年に日本放送40周年を迎えた事を売りにして、スーパードラマTVでHDマスターの再放送が行われましたが、はたして同様な展開があるのでしょうか?

 最近シニア層を視聴対象にしつつある無料放送の民放BSで『スパイ大作戦』とか『刑事コロンボ』を再放送しているのですが、ああいう感じでスーパーマリオネーション作品やアンダーソン作品の実写ドラマを再放送する枠とかあって良いと思うんですがね。

Wikipediaの本広克行監督の項目にあるパトレイバーについての記述

実写TNGパトレイバーと本広監督

 Wikipedia本広克行監督の項目に以下のような記述があります。

本広の『踊る大捜査線』では、押井が警察内部のドラマを描いた『機動警察パトレイバー』からの影響が随所に認められ、本広自身も本作の文庫版第一巻巻末に寄せたコメントにおいて「踊る大捜査線機動警察パトレイバーに影響を受けた」と告白している。(『キネマ旬報』)。その影響で、2013年に始動したパトレイバー実写化プロジェクトで監督の依頼があり、特撮担当に樋口真嗣、音楽担当に川井憲次というスタッフでミーティングまで行ったものの、メガホンをとるまでには至らなかったという。

 問題はこの後半にある

2013年に始動したパトレイバー実写化プロジェクトで監督の依頼があり、特撮担当に樋口真嗣、音楽担当に川井憲次というスタッフでミーティングまで行ったものの、メガホンをとるまでには至らなかったという。

の部分。これは間違いだと思います。Wikipedia記述の根拠となる情報の出典元として、

上のTNGパトレイバー公式Twitterの投稿が挙げられているのですが、これは文脈の肝心なところが抜けています。

肝心なところ

 TNGパトレイバーの展開時に独占放送をしていたスターチャンネルの企画の中に、このトークイベントを会員制ながらほぼノーカットで動画公開するという物がありました。もうその企画自体終ってしまいサイトも閉鎖されたので、現在はもう見れません。映像ソフトにはダイジェスト版で収録されているので、ノーカット版は闇に葬られたようなもんでしょう。

 TNGパトレイバー劇場長編ディレクターズカットの劇場パンフに、トークイベントの採録があるんですが結構修訂が行われているので、なるべく聞き取れるそのままを書き起してみました、

司会「本広さんいろんな媒体でパトレイバー大好きっておっしゃってますよね?」

本広「はい、もう何度も。本当こう……2001年ぐらい、『アンティーク 〜西洋骨董洋菓子店〜』*1てあるじゃないですか、あの辺で実はパトレイバーの実写化の話が来たんですよ僕んとこ」

司会「ええ?そうなんですか」

本広「特撮監督は樋口真嗣で、音楽は川井さんで、でそこでみんな会ってんすよ1回。FM TOKYOかなんかで、なんか(押井監督の方を伺いながら)5.1chのイベントっすかね?あんときに会って、じゃあ頑張りましょうなんて。パイロットムービーもあるんですよね(押井監督の方を伺う)、あの頃」

司会「へえ」

本広「お台場でレイバーが立って夕日の前に立つ奴と、押井さんのワンちゃんが踏切で待ってて、あれ実は僕らがあのプロジェクトに」

司会「そうだったんですかあれが」

本広「だったのに……」

司会「なのに」

本広「押井さんどう言うことっすか?!本当……おかしいでしょ」

司会「そしてなんか今日はね違う監督が監督した実写版パトレイバートークイベントに呼ばれて」

本広「そう。本当にねえ……もうダンマリですよ(押井監督を指して)」

本広「本当にパトレイバーを作ってるらしいって、もう物凄い僕らの業界では評判になって。本広さんやってるんでしょう?って全員が」

司会「聞く訳ですか?」

本広「全員僕に聞くんですよ。どうなんですか?って、で主役は誰がやってんですか?とか。なんかレイバー千葉の方走ってたらしいですよとか、もう、凄い聞くんすよ」

司会「でも答えられませんよね?」

押井「僕が答えると、だからその、本広くんを監督指名はあったんですよ」

本広「おっ、ちょっと!」

押井「プロデューサーの方で、監督ところで誰にします?っていうさ、シリーズだから3人くらい居ないと回らないから」

本広「はい」

押井「その時に本広くんの名前も確か入っていました」

本広「ちょっと……(落胆)」

押井「いやいやいや、だけど」

本広「何で今!」

押井「ちょっと色々あって、色々あってってか、最初にその、入る時の約束で、演出部を含めて監督は全部自分でやりますからっていう、それを条件に引き受けたんで」

本広「えー」

押井「しょうもない3人*2いるじゃないですか」

本広「しょうもないことはないですけど」

司会「あの、詳しくは第3章のブルーレイのオーディオコメンタリーを聞いて下さい」

本広「めちゃめちゃ面白いっすよ」

押井「あの3人を何とかこう、一人前の監督にしようってことも一つのテーマとしてあったので、今回は若手で行きますっていうさ。しかも全部実写映画上がりで、だからちょっと意外性があるかなっていうさ。本広くんとかもうベテランだから」

本広「全然ですよ」

司会「新人として呼ぶわけに行かないですよね」

本広「いや、まだまだ行けますよ本当、まだまだ」

司会「そうなんですか?(笑)」

本広「まだまだ」

押井「名前はいろいろ挙がったんです。有名なあの人とか」

司会「一応記者がいるので外に出しては行けないことは我慢していただいて(笑)」

押井「いや名前言えば、ああ、あの人っていうね」

本広「えー?」

押井「ただちょっとそれだと、もちろん僕は多分楽出来るなっていうさ思ったんだけど、任せれば全部やってくれるから。だけどちょっと違うことしたかった」

本広「なるほど、監督補佐とか、演出助手でよかったんですけどね」

司会「それこそ難しくないですか?」

本広「いや、押井さんここ押井イズム的にはですね、みたいな。物凄く勉強してるんで押井さんの」

と、ここで話が司会によって変えられるまで、こういった会話が続けられました。

 この会話からも分かるように、本広監督は少なくとも『THE NEXT GENERATION パトレイバー』制作面での関わりがないのはお分かり頂けたと思います。ですから、

2013年に始動したパトレイバー実写化プロジェクトで監督の依頼があり、特撮担当に樋口真嗣、音楽担当に川井憲次というスタッフでミーティングまで行ったものの、メガホンをとるまでには至らなかったという。

とするWikipediaの記述は事実誤認。間違いです。

パイロットムービー 

 本広監督が「僕らがあのプロジェクトに」と言ったのは、1998年にデジタルエンジン研究所で制作された『PATLABOR LIVE ACTION MOVIE』のことでしょう。本広監督が挙げた

  • レイバーが夕日の前に立つ
  • 押井さんのワンちゃんが踏切で待ってる

という二つのシーンがこの『PATLABOR LIVE ACTION MOVIE』と一致します。LIVE ACTION MOVIEの制作は1998年(メカデザインの竹内氏が描いた絵コンテの日付は1998年7月4日)。この映像はプレステのゲームやDVDBOXに収録されています。


PSパトレイバー特典映像

教育テレビの番組でこの映像の一部が流されたは際に押井監督は

  • この映像は正規の発注を受けた物ではなく、スタジオの内部での自主的なテストだった。
  • 街中にレイバーが立っているシーンはやってみたかったことの一つ。
  • ブルーバックを無しにどこまでやれるか。

と言っていました。踏切に架線があるのにレイバー渡れるのか?という話があるんですが、映像を作り上げることを優先したテストであることを考えれば、さして問題ではないでしょう。

PATLABOR GAME EDITION

PATLABOR GAME EDITION

 

 

 

 TOKYO FMだかで5.1chのイベントの際に……という話は、1998年12月にTOKYO FMホールで行われたサウンドリニューアル特別上映会のことではないでしょうか?ただ、この時にこの実写版も上映されています。2001年くらいの時期で他にTOKYO FMと5.1chで引っ掛かるイベントが見つからないし、制作は1998年なので、2001年頃に本広監督に実写化の話が来たというのは、もしかするとこの後に別の実写企画があったのか?とも思うのですが、詳細不明です。もしかしたら本広監督の記憶違い?

 雑誌の本広監督インタビューか何かで、パト実写化について他にも語っているのがあったような気がするのですが、年を食うとパッと思い出せなくて困ります。

 

 どちらにしても、本広監督はTNGパトレイバーに関与していないことだけは確かなので、Wikipediaの情報は間違いでしょう。 

*1:フジテレビで2001年10月から放送のドラマ版で本広氏は演出を担当

*2:辻本、湯浅、田口の3監督