ARE GOに関してはコチラ
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『サンダーバード』は53年前の初回放送以来、再放送が繰り返され、70年代以降大体10年前後間隔で在京キー局で再放送が行われていました。そこで少なからず新規ファンを作り、グッズやビデオソフトが発売されてきたわけです。しかし、昨今のテレビ界の状況を見ると、今後は再放送に期待できない感じがします。
ここ20年くらいの地上波キー局再放送
キー局以外の昔でいう独立UHF局とか地方局は調べきれないので割愛しますが、キー局(NHK、Eテレ・教育テレビ、日本テレビ、TBS、フジテレビ、テレビ朝日、テレビ東京)の再放送がいつ頃行われたかという話です、
- 2003年、教育テレビ(全国放送)
- 2015年、NHK総合の『サンダーバード ARE GO』放送開始に関連したセレクション放送
の2つです。どちらもNHKです。じゃあ民放はどうなのかというと、20年以内には再放送はありません。最後に民放のキー局で放送が行われたのは、1992年のテレビ東京夕方での再放送です。ただ、テレビ東京は一部の県ではネットワーク局の関係で放送がありませんでした。
今後地上波キー局で再放送はあり得るのでしょうか?
現在の地上波テレビ・キー局番組欄を1週間観察するだけでも、アニメ・特撮の再放送枠がほとんどないことが分かるでしょう。あったとしても、Eテレでアニメがあるくらいです。こういう状況下で、セレクションとはいえARE GOの放送開始に合わせて、特番とともにスーパーマリオネーション版を再放送したNHKは評価出来るでしょう。その後のARE GOの放送形態はどうかと思いますが……
90年代の初頭頃には、夏休みになれば午前中に仮面ライダーやウルトラマン、グリッドマンあたりが再放送されていたのですが、そういうのも現在はありません。さらに80~90年初頭くらいにあった夕方の再放送も、各局が始めたワイド情報番組で消滅。
地上波民放キー局での再放送は絶望的に近い
地上波の現状を見る限り、少なくとも子供に見てもらうことをベースに再放送をするとなると、時間帯というのは夕方近辺でしょうが、この時間帯はほぼ無理でしょう。テレ東の夕方で放送されているアニメでさえ、一部例外を除き再放送と言うのはありません。朝方にも似たような枠がありますが、5時前とか午前9時台とかも再放送は限られたもので、何十年も前の作品はやってません。テレ東でやっているウルトラマンも夕方から朝に移動してしまいましたし。
90年代後半から夕方から夜にかけてあったアニメ枠が減少した推移はちょっと古いですがこちらの記事が参考になります。
サンダーバードは80年代にフジテレビの深夜に再放送されたこともあるので、それなりのスポンサーがいくつか付けて、大人にスポンサー企業名の周知をするというようなコンセプトでなら現在でも深夜再放送は可能かもしれないですが、深夜帯だからと言って枠の価格が滅茶苦茶安いわけでもなく、関東キー局の場合1ヶ月で1300万前後(30分枠)かかると言われています。しかも全32話を前後編に分けないで放送した場合でも8カ月、分けたらその倍かかります。
ではどこでなら
地上波テレビ
在京キー局とはネットワークがない、独立局でならありえるでしょう、MX TV、テレビ埼玉、千葉テレビ、テレビ神奈川、群馬テレビ、とちぎテレビ。岐阜放送、三重テレビ、琵琶湖放送、KBS京都、サンテレビ、奈良テレビ、テレビ和歌山。あとは、在京キー局のネットワークに入っている地方局が独自編成で入れる可能性も。
スカパー・CS・ケーブルテレビ
地上波以外となると、スカパーとかCSで放送しているチャンネル「スーパードラマ!TV」でしょうか。このチャンネルでは開局当初からサンダーバードをはじめとするジェリー・アンダーソン作、スーパーマリオネーション作品の放送を度々行っています。ただ、元々ファミリー子供向けというのはあんまりやってないですが、近年は海外ドラマのなかでも大人向けのドラマの放送にシフトしつつあるようです。
サンダーバードは近年でもHDでの放送が行われていますが、それ以外のスーパーマリオネーション作品の放送頻度が下がっています。なんとなく地上デジタル化でHD放送が標準になりつつある頃から、SD素材しかない作品の放送頻度が下がってきたような気がします。イギリスでは『キャプテンスカーレット』や『ジョー90』のブルーレイも発売されて、これらの作品のHD素材が出来ているので、そのうちHD素材を使った再放送が行われる可能性はあり得ます。
しかし、気になることがあります。それは「スーパードラマクラシック」というインターネットを使った動画配信サービスです。これにジェリー・アンダーソン作品の多くが入れられているという点です。宣伝などを見ると、このサービスでは『サンダーバード』をはじめとするアンダーソン作品を配信していることを売りにしているので、逆を言えばここ以外のサービスに作品群を配給することはない、という可能性があることです。経過的な事実としては、過去には『サンダーバード』はHuluやバンダイチャンネルで配信していたのですが、クラシックの開設前に配信が終了しました。
このサービスはラインナップから見ると、他のネットフリックスやHulu、携帯キャリア系の配信と違って、ファミリー層というより中高年齢層を対象にしたサービスという色が強く、決済もクレカのみ。あまり幅広い層にという感じはありませんので、新たなファンを獲得するための接触機会としては望み薄でしょう。
追記:スーパー!ドラマ クラシックは2019年2月に終了することが発表されました。
BS
民放無料BSは意外な穴場です。ここは放送のシステム上、受信環境さえあれば全国で共通の放送が視聴できます。BSが受信可能の世帯数というのは地デジ放送に切り替わった次の年2012年あたりを山に、その後もじわじわと増えており4000万世帯あたりを推移しています。
放送している番組の傾向はというと、アンパンマンの体操をする番組や終わってしまったポンキッキーズもBSで放送しているので、子供向け番組もあります。
他の番組やCMを見ていると、中高年を対象にしたようなものも多いです。刑事コロンボやスパイ大作戦、時代劇などといった地上波では放送されなくなった番組の再放送が行われています。これは主な視聴者がそういった番組を見ていた世代だから、ということなんでしょう。
世の中核家族化してますが、おじいちゃんおばあちゃんと孫が一緒に見れる番組という形で、『サンダーバード』やスーパーマリオネーション作品群が放送されても良いのではないかと。
ネット配信
今やこれがテレビ以外では一番接触機会が多いでしょう。ただ、前述したように1つのサービスに囲い込みをしているような状態で(追記:その1つもサービス終了してしまいました。日本国内の配信サービスでラインナップしている所はありません)、Huluやネットフリックスといったメジャー配信サービスでは配信しておらず、それらサービス内でのレコメンドによる接触機会というのも無いです。
2020年6月追記
バンダイチャンネルでサンダーバード ARE GOシーズン1の見放題配信が開始されました。
今後
このように、今後地上波放送で新たなファンを増やすのは中々難しいことが浮かび上がってきます。テレビ放送を主軸に作品を忘れられないように再放送していくというのは、現在の多チャンネル化やネット動画の時代にそぐわなくなっているという事です。ただ、放送されれば影響力は大きいので、実現性があるのか不明な安倍政権による地上波テレビの新規参入を促すという話などで変われば、違ったアプローチが出てくるかもしれません。
こういった状況の中で、選択肢として企業とのコラボレーションで『サンダーバード』を世間に露出していくことも非常に重要でしょう。コラボもなく、忘れられていく特撮やアニメというのはたくさんあります。そんなふうにならない様、コラボや宣伝起用などで露出をしつつ、こないだ海外で行われた全話配信などのように、本編も日本の多数の目に触れ、新規ファンが流入しファン層も幅が出るよう、放送なり配信されることを願うばかりです。