よろず手控え帖

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50周年記念本タイトルは「Thunderbirds サンダーバード完全記録」

 8月末に『サンダーバード』50周年記念本の翻訳本が今秋発売 - よろず手控え帖とお伝えした、サンダーバード50周年記念本・原題「Thunderbirds: The Vault」ですが、翻訳版の書名が決まって「Thunderbirds : サンダーバード 完全記録」として発売中です。

Thunderbirds : サンダーバード 完全記録 [ハードカバー]

Thunderbirds : サンダーバード 完全記録 [ハードカバー]

 

 書名の決定と共に説明も以下の様に改訂されました。

誕生秘話、メイキングからグッズまで。
50周年を記念した、公認「サンダーバード」史!

サンダーバード以前のアンダーソン作品
 >>魔法の拳銃、スーパーカー、宇宙船XL-5、スティングレイ
サンダーバード後のジェリー・アンダーソン作品
 >>キャプテン・スカーレット、ジョー90、謎の円盤UFO、スペース1999
TVシリーズ全エピソード&映画の作品解説
スーパーマリオネーションに使われたテクノロジー
-特撮監督デレク・メディングズ
-ペネロープと愛車FAB1のバックストーリー
-名曲を生んだバリー・グレイ
-世界で愛される関連グッズと、そのマーケティング戦略

初公開の画像、イラストも満載。インタビューと画像で振り返る人気テレビシリーズの舞台裏。1965年にジェリー・アンダーソン率いるAPフィルムズが制作し、ITCによって配給された「スーパーマリオネーション」は、日本の特撮やアニメーションにも多大な影響を与えました。

ジェリー・アンダーソンは何に影響されて、このシリーズを企画したか?
1960年代前半、APフィルムズはどのようにして、特徴的な撮影および編集のスタイルを完成させていったのか?
キャラクターのイメージはどのように作成されたのか?
マリオネットの進化と限界、ドラマを彩った音楽など、全テレビシリーズおよび映画の舞台裏と、大ヒットによって生まれた膨大なグッズをご紹介します。

追記

目次(と、読んでみての内容補足)

1 トゥモローピープル 《 THE TOMORROW PEOPLE 》

APフィルムズ創設まで
ジェリー・アンダーソンの生い立ち、映像業界に入るまでと入った後、最初の妻、レッジ・ヒル、シルビア、ジョン・リードについてなどについて。

2 ロケットサイエンス 《 ROCKET SCIENCE 》

魔法のけん銃、スーパーカー、宇宙船XL-5、スティングレイについて書かれています。
ITCやATVについて、ルー・グレイドについて、スターリングロードのスタジオについて。

3 危険区域に接近 《 APPROACHING DANGER ZONE 》

サンダーバードの原案とキャラクター設定
思いつくきっかけとなったドイツの鉱山落盤事故やジェリーの兄の事、関係者の発言を挟みながらサンダーバード各機や各キャラクターを解説しています。

4 原子力の時代 《 THE ATOMIC AGE 》

時代背景とサンダーバード
劇中に登場するアイテムや通信技術など放送当時の世相なども絡め解説。

5 ブリッジからの眺め 《 VIEWS FROM THE BRIDGE 》

人形劇からスーパーマリオネーションへの変遷
英語版声優陣を紹介。当時の撮影スタジオの様子や、カメラ・撮影技術、内装などのセットについて。人形師と人形や衣装について。撮影から編集までの話、撮影時のエピソードなど。

6 危険な賭け 《 DANGEROUS GAME 》

特撮(特殊効果)
特撮スタッフについて、撮影モデルの外注の話、市販のプラモデルパーツ流用の話、汚し塗装の話、ミニチュアの操演の話、ローラー式背景や道路の話、セットの話など。

7 流れ星 《 SHOOTING STARS 》

映画化
テクニスコープの話、ロケの話、当時の批評、2本目の映画までの話。

8 テーマに乗せて 《 STRINGS ATTACHED 》

作曲家バリー・グレイ
バリー・グレイの生い立ちや、音楽家として、趣味人としての話など。

9 世紀の大セール 《 SALE OF THE CENTURY 》

関連商品の開発
おもちゃや、レコード、コミックといった展開について。

10 終着点 《 END OF THE ROAD 》

サンダーバード後の作品であるキャプテン・スカーレット、ジョー90、謎の円盤UFO、スペース1999、決死圏SOS宇宙船について。

所見

 文章の合間に当時のスタッフたちの発言があるのですが、故人については生前のインタビューからの引用です。また劇中のセリフの引用部分があるのですが、それについては日本語吹き替えのセリフが引用されています。

 この本は5000円するので安い本ではありませんが、邦訳版も原書と同じくハードカバーですし、内容も画像が豊富で『サンダーバード』までとその後、関わったスタッフ、ビジネス展開、世間の反応、そしてプロデューサーのジェリー・アンダーソンの生涯を記したまさに50周年記念本です。

 日本でもサンダーバード関連の本はかなりの数出版されているのですが、日本国内で執筆編集された本というのは、ストーリー解説的な本以外はどうしても劇中写真をまとめた本や、おもちゃやプラモデルを扱った本が多くなり、本国イギリスで元スタッフに取材をして…というのは少ないです。そう言う点では、この本はバランスの取れた内容になっています。

ーーーーーここまで追記ーーーーー

 

  前回の記事にも追記したのですが、著者のマーカス・ハーン氏がこの本について語る映像がYouTubeで公開されています。

 英語なのですが、PCであれば自動字幕機能で英語の字幕が表示出来(音声から自動生成なので所々間違いがありますが)、さらに日本語に翻訳する機能があるので、何となく言っている事は分かると思います。

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  1. 字幕機能をオンにします。
  2. 歯車マークをクリックして出てきたリストの英語(字幕生成)をクリック。
  3. 翻訳をクリックします。
  4. 言語のリストが出てくるので、スクロールして下の方にある日本語をクリック。
  5. 再生する。

↓再生ボタンを押すと、プレーヤー下に歯車マークなどが出てきます。

www.youtube.com

 上のプレーヤーは画像が表示されてない場合もありますが、再生ボタンを押せば見れます。映像の中で本の内容が映っていますが、スーパーマリオネーションの人形や衣装、撮影用ミニチュア、ビンテージグッズ、キャストやスタッフのインタビューなどが掲載されてるそうです。本の中身はイギリスのAmazonにいくつか載っています。

10月29日追記

 日本出版元ボーンデジタルのブログで、中身のサンプル画像が多く紹介されています。デレク・メディングス特撮監督が描いたファイヤーフラッシュ号のデザインスケッチや、メディングス監督が撮影のために溶断機を使用している写真などが見えます。日本で編集出版されたサンダーバード本に掲載された事のない写真もあるみたいです。本のレイアウトは英語版と同じみたいですね。

 日本で出版されたサンダーバード関連本というのは多数存在するのですが、本国イギリスで当事者たちに取材して編集出版された本やその翻訳版は、割合でいうと多分半分以下と少ないと思います。

 そして今回の本は近年発売されたサンダーバード関連本の中では、重要な位置にあると思います。なぜかというと、制作から50周年経ち当時若かったスタッフなども既に物故者が出ています。この時期がある意味最後のチャンスで、これ以上60周年などになると当事者たちに新たに取材するのも困難になってくるでしょうし、資料的にも当時の現物を所有している個人コレクターたちも高年齢化し、コレクターが亡くなれば資料は散逸し取材困難になる恐れがあります。

 今回の本はサンダーバードの前後の作品も掲載されており、スーパーマリオネーション作品を『サンダーバード』を中心に俯瞰する形になっているようなので、新シリーズの放送と共に1965年シリーズに注目が集まる今だからこそ、興味のある方には読んで欲しい本になっていると思います。

 ちなみにこの本に掲載されるグッズというのは、海外の商品がメインで日本で発売された商品は載ってないらしいです。日本のプラモデルやおもちゃを扱った本は既に何冊も発売されているので、そちらを読んだ方がいいでしょう。

ーーーーーここまで追記ーーーーー

 イギリスではサンダーバードと同じく、ジェリーアンダーソン製作の『キャプテンスカーレット』の50周年本も発売されています。日本でも発売して欲しいですが、無理かなあ……

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