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実写版パトレイバーのデザイン変更(足)

メカ パトレイバー アニメ

 この記事は、実写版パトレイバーで一番話題に挙がるであろうキャスト・キャラクターや舞台設定ではなく、あえてパトレイバーのメカニズム描写とデザインを巡る記事です。

関連記事:イングラムの名 - よろず手控え帖

まずは画像を

 2013年8月初めに実写版パトレイバーの実物大モデルが神奈川県の海辺に出現して目撃者に激写され、その数週間後には埼玉県の道の駅に現れて同様に激写され、その画像がTwitterFacebookに投稿されていますが、そのなかで足(つま先からかかと部分)を鮮明に捉えた画像はあまり多くありません。

 その中でも足回りを鮮明に捉えていた画像をご紹介します。出典不明の海辺で撮影された画像です。足が非常に特徴のあるデザインになっているのが分かります(草履みたいという意見もみかけましたが……)。アニメに登場する人型ロボットは足裏の面積が大きく、このような接地面積が少ないデザインのものはあまり多数派ではないです。

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 これはCGで作られた画像が元になっているようです。肩を大きく張り上げ、脇を開き、腕を軽く曲げ、両足をハの字に開いて立っている姿ですが、台湾国際漫画博覧会で公開されたポスターや製作発表記者会見の際にお披露目された、整備中もしくは待機状態の実物大モデルとはだいぶ印象が異なり気合いが感じられます。立ち方一つでここまで印象が変わる良い例ですね。

 レイバーキャリアに乗っている状態や、ハンガーで棒立ちの姿も、起動状態ではなく電気の通っていない状態なら、あのような姿でもあり得そうで「リアリティがある」と言われても、そういう見方もあるかとは思いますが、アニメで刷り込みがあるとなかなかそこを切り離すのは難しいですね。。

人型

 企画の当初から関わっていたゆうきまさみ先生は、メカデザインの件について過去にこう語っています。

 夜陰に乗じて金融機関を襲った一味は、レイバーを乗り捨てて車で逃げだそうとするが、その目の前に立ちふさがる巨人の影に思わずブレーキを踏んでしまう、というのが左側の絵の大まかなシチュエーションですな。
 
 これは最近描いた絵なので“一応イングラム”になってますけど、メカデザインが決まる前~パトレイバーの発想をした頃~から頭の中にあったイメージは こーゆーものでした。そのため、主役メカにはどうしても“あからさまな人形(ひとがた)シルエット”が欲しかったわけで、そのあたり分かって下さいよ押井 さん。
 
 というわけで、初期OVAの制作開始前に押井さんが持ち出してきた、“風呂釜のような作業機械に手足”という案に、強硬に反対した記憶があるゆうきです。
 
 ってゆーか、実写版パイロットフィルムを観ると、イングラムえらくカッコよくて(元祖イングラムの“ダサカッコよさ”がなくなっちゃって、洗練されすぎているようにも思いますが)、あれなら僕も文句ないんですけど、押井さんあーゆーの考えてましたか?
 それと、キャリアから離れるときにコネクターがはずれる描写入れたらどうか、ってのも僕言ったと思うんですけど、設定画にしなかったから却下だったんでしょうかシクシク。

ゆうきまさみオフィシャルWEB スケッチブック  パトレイバーの夜(2001-11-11)

ーーじゃあ、ヘッドギアの結成は、自然発生的に?

ゆうき:いや、プロデューサーの意向もありましたね。押井さんが加わったのも、鵜之澤さんの意向でしたね。

ーーそれはどういう意向でしょう?

ゆ うき:つまり、最初に4人(ゆうき・出渕・伊藤・高田)で企画を始めたときには、各話の監督を立てて、シリーズの総合監督は立てない、という話だったんで す。構成としては全部、1話完結の話ですから。けれど鵜之澤さんが6本のOVA廉価版シリーズを1パッケージで出すんだから、予算オーバーもせずスケ ジュールをきっちり守れる監督を一人、立てた方が良い。で、押井守という男がいるぞ、と(笑)。

ーーなるほど、それは適任でしたね(笑)。

ゆうき:ただ、押井さんがメカデザインなんかに結構、抵抗するんですよ。こんなメカはないだろう、って。ほとんどのメカやキャラが決まっているんだから、押井さん!ということで納得させたけど(笑)。

機動警察パトレイバー完全設定資料集 vol.1-TV編- ゆうきまさみ先生インタビュー

  そして、TNGパトレイバーイングラムデザインについてはこう仰っています。

 

どうしてこういう形なのか

 ところで、なぜ足がこのようなデザインになっているのか。そのヒントは押井監督の著書『メカフィリア』にあるようです。

 この本は『月刊モデルグラフィックス』という模型誌で1998〜2001年の2年以上に渡り連載された「迷走ガジェットFILE」をまとめた本で、監督作などに登場するメカを通しメカデザイン論や演出論を語るものなのですが、その中の「第1章:レイバー篇」で想定されるロボットのデザインや運用方法、演出などに加え、98式AVのデザインについて以下のように書かれています。

やがて上がるであろうロボットのデザインを待ち続けたのであった。

 そしてその第一稿が上がった。

 演出家は驚嘆し、そして怒り狂うのだが……レイバーに関するお話は筆者の愛憎ゆえに、長くならざるを得ないのである。

 

 どうビックリしたのか?

 そのロボットの足のデカさに驚いたのである。

 正確を期して言うなら、その脛ーー膝から下の脚部の無謀な長さと絶望的な太さ、および脚の裏の総面積の広大さに驚いたのである。

 

「こんなのヤだ」

 演出家は断固とした口調で言った。

「こんな脚で歩けるわけないじゃん」

 二足歩行とは即ち絶えざる重心の移動を伴う運動の事であり、したがって運動主体の安定した重心配置とは裏腹の関係にある。

 

(中略)

 

重心の円滑な移動を可能にするためには重心点はある程度高い位置に存在しなければならず、接地面(足の裏)もまた最小限であることが望ましい。

 

(中略)

 

 アニメに登場するロボットの殆どが巨大な脚の所有者であるのは、単にその方が見栄えしてカッコいいからという美学的な要請と、製品化したときに容易にコケるようでは商品価値に関わるという経済原則によるのであって、それ以外に理由はない。『パトレイバー』という企画は純粋に映像作品そのものを商売にするものであって、オモチャやプラモデルを売るための配慮は無用であり、かついままでのロボットアニメに対するアンチテーゼを目論むものではなかったのか?

 ああそれなのにーー

一体この男は何を

考えていやがるのか!

「これじゃ今までのロボットと何も変わらないじゃんか!」

 物理的に歩行困難なだけではない。動画的にも大変動かしづらいのである。

 

(中略)

 

「歩けない走れない肩も回らない……メカものの三悪だ。そりゃ確かにアニメである以上、動かせと言われりゃなんでも動かしてみせるさ。だけどその動画の嘘がどれだけメカニズムの表現をスポイルしてきたか、判っとンのかッ!」

 

 このままでは自らの演出プランが崩壊するのは火を見るよりも明らかであり、演出家は完全にアタマにきていたのである。

「しかしですね……いかにもカッコいい売れセンのデザインのロボットが警視庁に配備されるっていう、そのミスマッチが企画のコンセプトな訳だし」

嘘つけ手前っちが

好きなだけだろうが

ーーと思ったが、さすがにそれは口にしない。

 それにそんなコンセプトは聞いていない。

 いや、聞いたかもしれないが覚えていない。

 思い出したくもないのである。

押井守・映像機械論『メカフィリア』

 実際イングラムの立体物をいくつも買って分かった事ですが、ズボンで言う裾の部分(イングラムではアンクルガードが固定されている足首の両脇)は見た目重視で可動という事は全く考えられていないように思います。股を開いて立てようとすると、裾が尖った形をしているので邪魔して深い角度を取る事が出来ません。

 監督も言っている通り、ウソを付いてアニメとして動かす事はいくらでも出来るでしょう。しかしそれが、ロボットのメカニズム(機構)の描写をスポイル(台無し)にして来たかということです。

 なぜそのままのデザインでアニメにすることになったのか。それについてはこのように書いています。

「とにかくヤだ……こんなんじゃヤだ!」
 ここは一番ゴネまくることに決めたが、ブッちゃんを甘く見ていたために根回しが不十分であり、状況は極めて不利であった。共同企画者五人の中で、こちらの味方は困ったもんだわいという顔をしている脚本の伊藤和典のみであった。結局、多数決で決めようということになり、結果は三対二で完敗だった。

 作品を監督する以上、民主主義などクソ食らえであり、その場でオサラバしても良かったのだが、前回も触れた通り、演出家の家計は逃亡を許さぬほど逼迫していた。
 涙を呑むことになったのである。
 無論ただ黙って引き下がる気など毛頭ないが、それは後述することになる。

 

(中略)

 

 この典型的なアニメロボをトコトンみっともなく演出するーーそのことによってロボットの持つヒロイックな要素を叩き潰し、翻ってメカニズムだけが持つ魅力を引き出す、その一点に意識を集中することに決めていた。

押井守・映像機械論『メカフィリア』

 押井監督がパトレイバーという作品と、そのメカニズムについてどのように考えていたか窺い知れたと思います。ただ、この記述自体は98年以降に書かれたものであり、実際に作品が作り上げられて行った過程で何処まで考えていたかですが、この本にはレイバーの武装やタイヤについて書かれていますが、89年にアニメージュの記事で書かれたもので、こういうイラストがあります。タイヤがあるってのはこの頃から考えていたようですね。

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追記:なんか勘違いしてる人がいるようですが、押井監督はデザイナーじゃなくて演出家です。上のような絵を描いていてもコンセプトであり、当時このコンセプトが通ったとしてもデザイナーがいるヘッドギアでは出渕さんがデザインする事になるでしょう。結果、これは第1小隊のアスカとして出渕さんによってデザインされましたし。

メカとしての足

 98式AVイングラムの実物大モデルを見たとき、多くの人が最初に目が行くのは頭部でしょうが、足の先から頭てっぺんまで見渡したとき、アニメやコミックのデザインと一番違うのは、やっぱり足です。他の部分はシルエットとして見たときに大きい変化は見えませんが、足周りだけは確実に細く小さくなっています。

 本来、メカとしての動きに面白味があるはずなのにアニメでは描写の複雑さなどからか面白みに欠けた動きになることが多く、デザインもワンパターン化しやすい足。特に地面に接している部分のデザインにこだわっているように感じられます。

 勿論、3DCGでモデリングして破綻なく動かせるという視点も当然入っているでしょうが、『メカフィリア』に書かれた内容からしても、デザインそのものや採用経緯に相当不満を持っていたのが明らかであり、今回の実写化で自分主導で進められるチャンスを得られ、監督のメカニズムに対する考え方をデザインに反映されることが出来た結果が、あの足なのでしょう。

 さらに先日行われた制作発表記者会見の際にこのように語っています。

 あと、こだわったって言うか、デザインは見ての通りです。明らかにブッちゃんの匂いが残ってますけども、僕としては非常に遺憾なんですけれども。
 まあ、少々事情がありまして、一応レイバーのデザインに関してはアニメーションを踏襲するというか。
 ただ、8メートルのサイズに実体化するにあたってですね、ディテールが全く足りなかったので、あちこちリファインしたと言うか、ディテールの追加はしております。
 ただ、シルエットはアニメーションのレイバーとほぼ一緒と、言うようなことになってます。ただ、微妙な所で設定が変えてありますので、それはシリーズでチラチラと出す予定です。

 ブッちゃんこと出渕さんの匂いが残っている事情がどういったものなのか判りませんが、監督のメルマガにおいてプラモデル発売がされそうと言う記述があるらしいので、その辺の事情や出資者側との折り合いの事情なのかな?

2014/01/16追記

 色々検索していたところ、Twitterで興味深いツイートを見かけました。押井監督のメルマガで、パトレイバーのデザインを大幅に変えない事が自由に撮らせてくれる条件だったため、寺田克也さんがデザインしたレイバーをボツにしたというものです。

以上、追記分。

2014年3月17日追記

 東京・ららぽーと豊洲で行われたパトレイバーデッキアップイベントで、足に関する発言がありましたので追記しときます。

ーーここらへんは、外せなかった、こだわったいるというポイントはなにかありますか?

押井「足じゃないですかね、やっぱり」

ーー足、足のどのあたりですか?

押井「ちゃんと歩くようにみえるかどうかですよね」

ーーあっ、ちゃんと歩いているようにみえるかどうか。

押井「足のパーツをですね、アニメの設定の多分10倍ぐらい増えてるんですよ、だからその、人間の足の骨の数と同じぐらいディテールがないと、歩くだろうというふうに見えないですよ。だから足はかなり大変だったと思う」

ーーそうですか。

押井「あとは顔かな」

ーー顔ですか、顔のどんなところですか?

押井「ん〜、なんか、ブッちゃんのレイバーに似てるようで、もうひとつ違うかなっていうね」

 こんな事を言ってました。

以上、追記分。

2014年4月7日追記

 4月5日から2週間の期間限定公開の第1章を見てきたのですが、エンディングロールやプログラムで、レイバーのデザイナーとして数人の名前が挙がっていました。まず、チラシにも出ていたレイバーデザインイメージ寺田克也氏、レイバーデザイン橋本秀樹氏(A-line)、レイバー原型デザイン鬼頭栄作氏となっていました。

以上、追記分。

2014年7月30日追記

 第2章のプログラムには、千葉工業大学未来ロボット技術研究センター fuRo所長古田氏がパトレイバーを語る記事があります。

 そして、第3章のプログラムには、実写版イングラムデザイン担当橋本氏が語る記事がありますので、興味のある方は購入してみてはいかがでしょう。

ロボット研究者の視点

 第2章のプログラムには、現行技術でイングラムは実現出来るのかを古田氏にぶつける記事があります。このなかでは、足裏のパーツ構造について語られています。

 まず私が注目したのは脚部、とくに足裏のパーツ構造です。ロボットの足は機体を動かす役割を果たすと同時に、機体の重量を支えています。とくに二足歩行ロボットではこの小さな足裏で全重量を支えなくてはなりません。

 同じ圧力を加えた場合、力を支える部分の面積が小さいほど圧力が増加するのは、経験則としてご存知でしょう。かつて雪深い里で暮らす人が「かんじき」をつけていたのは、足裏の面積を増やすことで脚がめり込まないようにするためです。

 イングラムの設定重量は約6tですから片足にかかる重量は3t。足裏の面積を10,000センチ平方メートルとすると、1cm四方に0.3kgの力が加わります。この力をいかにして分散するかが肝要なのですが、アニメ版の足裏はブロック構造なので分散は無理。そこで実写版が採った方法が足裏を複数のパーツで構成する事だったようです。図面を見ると足裏を囲むようにいくつかのユニットが配置されています。これが圧力分散に有効なんです。

 さらに私なら各パーツに圧力センサーを取り付け、パーツごとの圧力差から機体の傾き具合を判定させ、それをスタビライズ機構にフィードバックさせますね。そうすることで歩行中の機体の安定度を高められますから。実写版イングラムをデザインした方は相当なセンスの持ち主ですね。

 その他に第2章エピソード2でシゲさんが語っていた、レイバーが静止状態を維持するのは実は大変という話についても語られています。

 どこも動かさずにまっすぐ立たせるなんて簡単なようですが、実はこれが難しいんです。ロボットを静止状態で直立させ続けるには各関節をロックして動かなくする必要があります。ただし実際には、静止しているとはいえ機体は微妙に揺らいでおり、その揺らぎを打ち消すように各関節のモーターを少しずつ動かす必要がある。つまり直立状態にあるロボットはモーターの電源を切っているわけではない。関節が動かないように固定すると同時に、揺らぎに対応して微妙な動きを繰り返しているんです。これは歩行状態よりもモーターに負荷が掛かる作業であり、機体制御も歩行時より複雑です。

 エピソード2で特車二課とイングラムが警視総監の前で整列するシーンがありますよね。あのとき、イングラムは直立状態を保っていますが、各部モーターは微調整におおあらわで相当な負荷が掛かっていたはず。それが「オートバランサーが怪しくなってきた」につながり、手動によるバランス取りとなって、それでも追い付かずに機体が大きく揺れ出すーーという現象につながったのでしょう。ロボットを制御体系、とくに安定性を考える上で非常に興味深いシーンですね。

 第3章プログラムは、イングラムの写真や橋本氏(アニメスタジオA-LINEに所属し、押井監督が原作・総合監修を行う作品のキャラクターデザインを担当しているとの記載あり)のプロフィールに1ページ、氏の語った文章とイングラムの初期案、修正案、カラーリング案の画像に1ページという構成。

 「プレッシャーとの戦いだったデザイン作業」「理論を優先させたイングラムのデザイン」「実物大そしてCGイングラムに寄せて」の3つの章に分かれています。

 この記事の中で、携わる経緯、今回の作品が実写版で劇場公開し実物大を作るという話は聞かされていなかった、などの話が書かれています。

 修正案などのイラストが3つしか掲載されていないのが寂しい所ですが、実際に出来上がった実物大と見比べると、共通点はあるものの細部が微妙に異なる点があります。イングラムのデザインは橋本氏以外にも、造形師の鬼頭氏や実物大を制作した秋山工房などが関わっているのが明らかになっているので、案のイラストと出来上がった実物大の違いがどこから来た物なのかを今後のパンフレットで取り上げられるといいのですが。

以上、追記分。

追記

 第5章のプログラムに鬼頭氏のインタビューが掲載されています。それによると、

 以前から押井監督は著書にも沢山の二足歩行ロボットに関するイメージを書かれていて、それは今回の『TNGパトレイバー』にも徹底して貫かれていました。その中でも最も雛形の形状に関わる部分として下半身・特に膝から下や、足首およびつま先の大きさでした。スムーズな重心移動を行う為にその辺りをコンパクトにし、足を横から見た時のS字曲線も押さえたいという意向がありました。

<略>

 しかし膝下両サイドにはリボルバーカノンや予備弾薬を収納する部分があります。さらにリボルバーカノン自体のサイズは決まっていますし、それはさすがに変更出来ませんので、小さくしたいけれどそこに大きな物を納めなくてはならない。相反する事をどうすればよいか結構悩んだりしましたが、ボックスユニットを外付けにするという構成にすればそれらが両立出来る。というアイデアで製作しました。

 つま先はイメージイラストにあったものを更に発展させ、角張った感じの「かんじき」として重量分散やバランスをとる機構をイメージさせるようにし、細く短くなった足首の裾部分はメカをぎっしり詰めて、役者さんの背景としてカメラに映れば画面映えするであろうという考えから、機構を露出させています。

<略>

 他にも脚部のあちこちにステップや、外装を外して整備する時に便利な吊り下げ用フックなどを散りばめています、これはもう整備班員になったような気持ちで位置決めしました。

<略>

 見る人に非現実的な違和感をなるべく与えないような効果として、一般の人が普段どこかで目にした事があるようなディテールにしています。例えば足首上のスリット状の部分は車や電車などでよくありそうな感じであったりとか、額のカメラガードとか両肩のライト、盾のボルトは装甲車や作業車などにあるものをほぼそのままの形で装着しています。

<略>

 それらに加えて搭乗員や、重要な機構部保護のための増加装甲も追加しています。コクピットの両サイドと後ろ、両肩、顔、膝横、膝下などです。重い鉄の塊ではなく、通常のFRP装甲のブロック内側に防弾チョッキに使われるケブラーやアラミド繊維やらを詰め込んであって比較的軽量である、といったイメージです。ですので全体的にミリタリーチックなアレンジでやや威圧的にも思える印象に仕上がっているのは、そういった機能重視の様々な改造を繰り返した結果なのかもと、特車二課の裏舞台を想像していただければと思います。

<略>

 これらを限られた時間内で8mに拡大した巨大な物を実物大制作チームがつくるのですから、そちらの作業が可能な限り効率的に進められるように各部のデザインを考慮する必要があるな、と思いました。たとえばその中のひとつとしては両肩のパトライトが挙げられます。イラストの段階では上から見た時に「U」字型になっていまして、これはなかなかカッコよく、是非立体化したかったんです。しかし実物大では中空にして中に回転ランプを仕込む必要があります。透明の樹脂板を絞り出し成形した場合「U」字型に屈曲した部分にシワがよりやすく、成形が難しい。まあ、雛形サイズなら何回かトライして仕上がりがキレイな物を使えばよいのですが、実物大はパトライトの長さがほぼ1mサイズですので、それだけ大きな三次元曲面を成形するとなると相当な難物であろうと想像しました。そこでまず楕円型パトライトにデザイン変更して、その上に白いカバーを載せて、擬似的に「U」字型に見えるように再構成しました。

 流れとしては、寺田氏がデザインしたが没になり(没になったデザインは押井守ぴあなどに掲載されています)、橋本氏によって今の大元になるイラストデザインが起こされ、さらに鬼頭氏が立体に起こし、さらに秋山工房によって実物大が作られたという流れのようです。

 ハンガーやキャリアに乗っている実物大と、劇中で使われた3Dモデルは違いがあるそうで、内股のパーツ形状などが変更されています。

以上追記。

出渕さんと押井さん

 ちなみに『メカフィリア』には、本の中で押井監督にもの凄い言われようの出渕裕さんのインタビューも掲載されていますので、ご興味ある方は一読してみることをお勧めします。

出渕:押井さんとは、去年の『劇場版ラーゼフォン 多元変奏曲』のDVDについた冊子の対談で久しぶりに会ってお話させてもらったんですが、いや個人的には楽しかったですね。いつものことだけどこちらが聞き手で(笑)。でもインタビュアーとしてはいい仕事ができたかなァって。

 

●出渕さんに勧められて読んだんですが、あれはいいですね!

 

出渕:なんか周囲の評判はいいみたい。押井ファンや信者の方々にはいいテキストになるんじゃないかな。

 

●その対談のあとにお会いしたら「歴史的和解だよ」と笑ってましたね。

 

出渕:歴史的和解って……なんだその大げさな言い方(笑)。僕のほうは、自分がまァこんな奴だから関係が壊れてるなんてつもりはあまりなかったんですよ、コレが。そのときも押井さんに「おまえは変わってない」って笑われましたっけ。だから、その対談でちょっと驚いたのは、『機動警察パトレイバー2』(以下『パト2』)をやってるときに、確かに1回だけ電話口で大ゲンカした、それを本当に根に持ってたんだなぁってこと。いやあ執念深いっス。あれ実際はなんででそうなったかと言うと、当時マンガの仕事が終わらなくて、自宅でやってたから「来い」って言われても行けなかったんですよ。押井さんてじつは教員免許とか持ってるじゃないですか、要するにアジテートして論破っていうか、ディベートして相手を自分の考えに向けるっていうようなことが、もともと気質として好きな人だと思うんですよ。そういう他人を調伏する行為が。だから当然自分が言えば相手は言うことを聞くと。「自分が説得すれば、だいたいの奴は自分のほうに来る」「いままで来なかったのは摩砂雪と貞本(義行)の二人だけだった」って言い切られましたよ。だから電話で「いや行けない、ダメなんですよ」って話をしたら押井さんがイライラっとしてきて、まァ逆らった感じに受け取られたんだと思います。それで「要するにさぁ、おまえやゆうきまさみがやりたいのはさ、レイバーを宇宙へ飛ばしてドンパチやらせたいだけだろう」って言われて、そんで「ブチッ!」とキレかかっちゃった。そんな風に思ってるわけないじゃん、そんなこと押井さんだってわかってることじゃん、って。で、「何言ってるんだ、撤回してくれ!」みたいな感じで、完全にキレて怒鳴り合いになっちゃったんですよ。珍しく、こちらが一方的にガーッと言っちゃって、それで押井さんが「ダマレ!黙れ!!」って感じだったかな。でもいくらなんでもそれはヒドいよなぁ、その言い方はって、わかってて挑発しているように感じたんでしょうね。そのときはそう感じてそれを受けちゃった…

 

●押井さんは、レイバーはただの仕掛けだという構想をお持ちだった。でも出渕さんのメカキャラクターにしたためにヒットして、その後の押井さんがある、ということですよね。

 

出渕:ちゃんと納得はされてるでしょうホントはね。たぶん前からわかってるはずなんですよ、頭のいい人ですから……。押井さん自身が先の対談でもそういうアンビバレンツな自分の心情を吐露されていましたし、そういうテイストが(商業上)必要だったっていうところも理解はしている。

 

●なのになぜあそこまで(笑)

 

出渕:押井さん本人もおっしゃってたと思うんですが『パトレイバー』というものへの愛憎なんでしょうね。それを清算したいっていう。とくにそのメカっていう部分に関して言えば、やっぱり格好のターゲットではあったと思うんですよ、僕なんかが。

 

●こういう連載を押井さんが始めることはご存知だったんですか?

 

出渕:じつは、はじまる前にこういう企画をやるっていう話は本人から聞いてはいたんですよ。知人の結婚式で押井さんと会ったとき、「今度やるんだ、こういう連載」って。「そうなんですか、でもイラストとか誰が描くんですか?」って聞いたら、「竹内(敦志)くんに頼もうと思ってる」って。「あっ、それはいいと思いますよ。ベストなチョイスじゃないかと思います」って話をしたんですよね。それで、「だったらまあ、ブッちゃんに断っておかなきゃいけないから」って。考えてみれば『うる星』以降、『GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊』(以下、攻殻)以前の(メカの出る)押井作品ってだいたい僕が関わってましたから。なのでそのときは、ああ押井さん気を使ってくれたんだ、と(笑)。それで「見本誌は送ってくださいね」って言ったら、押井さん即答で「いや、それはいい。送らない」って。

 

●連載前からすでに、単行本になったらっておっしゃってましたね。

 

出渕:そう、罠だったんですよ。これが(苦笑)「掲載誌は送らないけど、単行本になったらちゃんと送るから」って。誰だっておかしいと思うよね、普通(笑)。見本誌を送るのなんて、出版社に一言言えば済むことなのに、それを……。その瞬間にイヤ〜な予感がして……警報アンテナがね、ピンと立ったんですよ「なんかヘンだ、どこかおかしい」って。で、予感的中。でもまあ、そのときはいくらなんでもヒドいことにはならんだろうと。ちゃんとこちらにお断りまで入れてきてくれたんだからと思い直して、連載第2回目の号(注:ヤクトハウンドの回)を書店で立ち読みしたんですよ。……その場で崩れ落ちました(笑泣)。ホントに。ギャグでもなんでもなく、読んでてカクってヒザが崩れ落ちる感じで。「おーい、いきなりこれかよ!?」。いやあ驚きましたね。そうこうするうちに、なんかネタに詰まると僕を出して、とりあえず叩いとくという方程式ができあがってね。もう途中から快感になって「わ、またキタ〜!」って。こうなってくると、もうマゾですよ(笑)以前この話(この本に関するコメント)を打診されたときに言った表題。あれですよ、心境は。憶えてます?『人間サンドバックの悲哀』って。

 

●そうでしたねぇ(笑泣)

 

<中略>

 

出渕:押井さんって、そんな感じでじつはアナクロ好きなトコもあるわけで、だから理屈というかロジックの部分と自分の趣味、フェティシズムの部分が相反しちゃうことがあるんですよ、よく。第1小隊の使ってる旧式レイバー、ああいうのでやりたかったみたいですよね『パトレイバー』を。主役のAV98も、絶対「イングラム」と呼ばせないですから。 必ず「98式」 (キュッパチ) ですよね(笑)。 押井さんにとってはああいう人型はガンダムもゲッターもイングラムも大差ないんでしょう、おそらく。みんな排斥してしまいたい《ヒーローロボット》なわけで。でも、だからヒットしてここまでこれたのもわかっていて、それ故に愛憎の念が深くて否定しておきたい存在なんでしょう。でも、それって自己否定につながっちゃうんですけどね。

 

●『パトレイバー』 は色々なメカデザイナーの方たちが参加していますね。

 

出渕:それは、押井さんの趣味嗜好を自分なりに分析したうえで 《作品》 の ためにベストではないかという人達をこちらでさせてもらいました。これに関しては押井さんにも信頼してもらっていたと思っています。自分の弱点を客観的に見て、それを補完するという意味でもうまく機能してくれたんじゃないですかね。そういう他者を受け入れることで起こる複合的な化学反応から、おもしろいものやよい意味での意外性が生まれたりするもんなんですが。それが楽しいし、作品の《武器》になりますから……。それは《人型ロボット》 みたいな非論理的 (笑) なものを受け入れるという意味においても同じことが言えるんじゃないかなあ。正ちゃん (河森正治氏) なんかうまく対応してましたよ。対押井さんテクニックを編み出してね。押井さんの動物三種の神器 (犬・魚・鳥) を駆使して(笑)。普通に考えれば、現代でヒンデンブルク並の飛行船や、横に幅のある戦闘ヘリなんておかしいですから。そういえば『パト2』のとき、90式にこだわる押井さんに「どうしてですか?」って聞いたことがあって、返ってきた答えが「正面から見るとティーガーI型に似てるから」って(笑)。いや、もう納得しましたよ!

 

●せざる得ないですね(笑)

 

出渕:そういうわけで、押井さんは自分の好きな犬とか鳥とか魚とかっていう属性を入れることに関してはまったく厭わないというか歓迎じゃないですか、メカニックに。だからそれはリアリズムじゃなくて、やっぱり趣味の世界、好みの問題になってきてますよね。リアルとリアリスティックなものは別だよっていうのと同じで、やっぱり自分の好きか嫌いかっていうような部分が立ってきちゃうでしょう。この本の内容にしても、メカニック論を書けば書くほど、理講武装しょうとすればするほど、押井さんのなかでのほころぴというか、そういうのが破綻していく様が見えてくるのが面白いですよね。理解はしてるけどアイデンティティーを保つには理謂武装せざるを得ないっていうアンビバレンツな気分が。

 

●ときどきバクッと開いた所をとりあえず出渕さんを出して縫うみたいな。

 

出渕:そうそうそう。僕を出しとけば良しっていう (笑) 。でも、ちょっと考えればわかることですが、ひとつのメカニック論だけが正しいなんてことはあり得ませんから。

出渕:でね、なんでそういう風に押井さんがこちらを叩きにくるのかを自分なりに分析してみたんです。ひとつはたぶん電話口で一回やっちゃったことを引っぱってるってこと。もうひとつが 『G.R.M.』 。当時『G.R.M.」が頓挫してるでしょう。あのころの押井さんて、すっごくフラストレーションがたまっていたと思うんですよ。ようするにフラストレーションを発散させたいっていう。そういった意味では、叩きやすい、叩いても。OKな相手として自分がちょうどそこにいたんだろうなぁ、と思って。ま、そういう意味で『人間サンドバ ッグ』と。

 

●出渕さん、なぜそこまで……。

 

出渕:大人ですから(笑)というか「しょーがない人だなァー」という気分かなぁ。いちいちそんなことに目くじら立ててもねぇ……。まぁそれで済むんなら、それでもいいかって思えるようにはなっちゃった (苦笑)。なんにせよ、そういう『G. R.M.』の 頓挫みたいなことがなければ、押井さんがこの連載を (物理的にも精神的にも)始める気にはならなかったんじゃないかなぁ。『G.R.M.』ってね、たぶんあの時点で押井作品の「到達点」になるはずだったんですよ。それが、そこへ至ることなく終わってしまって……。デザイン的にも『パト2』から『攻殻』へ至る過程でいうと、 押井さんにとってそのあいだは 《借り物》デザインだったわけで、『バト』なら僕やゆうきさん、『攻殻』なら士郎 (正宗)さんというね。そういう他人から借りてこざるを得ない状況、というか 《縛り》があったわけ。 《ブランド》みたいなもんですからね。それは明らかに作品の 《武器》足り得るし、押井さんだってそれが 《カ》になることは理解しているんだろうけど、やはり自分でコントロールして好きにやりたくなってきちゃうんですよ。押井さんにしてみれば、それは《妥協》でしかないから、クリエイターとしては当然といえば当然ですが。デザインってその作品世界をビジュアルで体現する行為だから。だからオリジナル作品としての『G. R.M.』 でそれをやりたかった、答えを自分なりに出そうとしたんだと思うんです。

 

●オリジナルの、それも予算のかかった大作でしたからね。

 

出渕:新しい手法を試すという部分も含めて、かなり手応えを感じていたであろうことは想像に難くないですね。だから、それに伴う喪失感もかなりのものだったんだろうと思います。その鬱憤が、それまでガマンして使ってきた他人のデザインラインへ、否定のベクトルとして向かうのも無理からぬところだとは思いますが……。でもそれがねぇ、その《反動》がこっちに向くのは「ちょっとカンベン」だよなぁ。

 

●そうですねぇ (苦笑)。

メカフィリアより抜粋引用

2013年12月20日追記

 このインタビューでも語られている、ラーゼンフォンのDVD-BOXについていたブックレットの出渕さんと押井さんの対談ですが、パトレイバーに関する箇所を少し引用しさせてもらいます。

押井 僕のエッセイで、ぶっちゃんって人間についてコラムとかエッセイとか、さんざん書いて、まわりの人間はみんな悪口だと思ってるよね(笑)。でも、そうじゃないんだよ。評価してるから書いたんだ。僕の「出渕裕論」を締めて言えば、「ぶっちゃんは、メカニックをキャラクターにした男だ」ということ。というか、アニメーションのメカニック、ロボット はみんなキャラクターだったんです。そのことを無意識のうちに極限まで追求した男だから、そこを最大限に評価してやらないと。

 

出渕 無意識かなあ(笑)。まあ、でも基本的には、おっしゃるとおりです。

 

押井 そういう意味で言うと、日本のアニメーションを代表する男なんですよ。日本のアニメーションを乱した男でもあるけどね。だからいまだに仕事ができる わけ。永遠にファンの側にいられる男なんだよね。それを要求したのは誰かと言えば、それはファンですよ。ロボットは彼らおよび彼女らにとってキャラクター だった。そういうことを体現している数少ない、っていうかほとんど唯一の男。メカニックというのは、本来は自立した瞬間から別世界になっちゃう。レイバーは本当に過渡的な存存で、キャラクターであるのと同時に一種のギミックだっ たんですよ。僕は、はっきりギミックにしようと思ってたの。ところがぶっちゃんのデザインに足引っ張られて(笑)、そうならなかった。

 

出渕 でも、あれ押井さんのいう、ギミックにしてたら今の『パトレイバー』はなかったでしょう。それと、今の押井さんも(笑)。

 

押井 ないない。それはまさに思うわけ。あの98式っていうのが、ファンの好むキャラクターになってなければ、最初のビデオ6本でこの仕事は終わってた。映画もなかったし、テレビシリーズもなかったし、もちろん『パト2』も存存しなかった。そこらへんが僕のアンビバレンツ(二律背反)な部分だけどね。

 

出渕 それは、常に関係論なんですよ。

 

押井 僕自身もどこかでそれを吹っ切ろうと思いながらも、そういうようなものを背負って仕事してる。ぶっちゃん個人に対しては、『パト2』のときに大喧嘩やらかして、「お前なんかといっしょに仕事したくない、顔も見たくない」って。

 

出渕 それは、要するにあの電話口の話でしょ。デザイン上がらないんで、怒った押井さんが「お前やゆうきまさみは要するにレイバーが宇宙でドンパチやるよーなものをやりたいんだろ!」って、それでこっちがキレちゃった。アレ(笑)。

 

押井 あれから結構年月経って、僕の怒りも収まったし、ぶっちゃんについて書くことによって、彼がどういうような存在なのか、かなり理解出来たし、整理出 来た。僕が目指す方向とは明らかに違うんだけど、僕がやってきた仕事の一部であることは間違いないですよ。だから、まさにこの映画もね、巨大キャラクター で、見事にロボットになってないじゃないってね。

 

出渕 でも、僕と押井さんは世間ではミリタリーでくくられることが多いんですよ。僕もミリタリー好きだけど、でも押井さんが考えているミリタリーとは一寸 違う。例えばヘルダイバー(『パトレイバー』に登場する空挺ロボット)は、ミリタリーファンには評判よかったりするんですけど、押井さんは「あれは間違っとる」と思ってますよね。理屈で言えば、車高の高いものがノシノシ歩くこと自体がすでに兵器として間違ってるわけだから(笑)。分かってはいるんですよ。 押井さんの理屈では。でも、『パトレイバー』では、僕が反対勢力になってマンガ的なものを少し加味した位の方が作品としてうまくいくだろうなと、バランス をとる意味でもあえてそうしてた。だってあの時点では、そういう方に持っていかないと売れないもの。押井さんもわかってるくせに……。

 

押井 だから、そういう反対勢力と格闘することで、結果的にあの作品が成立しちゃったこともわかってるから、よけいに愛憎の念が深いの(笑)。日本のアニ メーションが持つ非常に不可解で特殊な領域と、縁を切ろう縁を切ろうと思いつつ、どうしても抜けきらずにそっちに頭が突入してしまう。まるで日本的な 「家」みたいなもんで、家を飛び出しても結局は家の問題は解決しない。だからこそ、出渕裕っていう男に代表されているような、そういう絵柄の世界、アニメーションの世界、デザインの世界を、多分僕がいちばん正確に語れる位置にいるんだ。

 

出渕 実は、そうかもしれないですね。

 

押井 ……というつもりで、ずっとこの数年間、ぶっちゃんの悪口をあちこちで書いてきたんですよ(笑)。

 

出渕 そ、それはありがた迷惑な気が…(苦笑)。

 

<中略>

 

出渕 僕は個人的にも押井さんのファンだし、押井作品が好きだから。何か好きだって聞かれたら、『天使のたまご』って言っちゃうような奴ですからね(笑)。『攻殻機動隊』も、みんな『パトレイバー』と比較するんだけど、違うじゃん、あれって、闘う『天使のたまご』でしょって。

 

押井 あ、そうだったんだ……。

 

出渕 押井さん、知らないと思うけど、いや、あの頃オレが動いてたの知ったら嫌だろうなって隠してたんだけど、『パトレイバー』関係も影ながら支えてるんですよ。角川書店から出たレイアウト集も、表紙、インクラム3号機だけだと押井さん嫌がるから、こうやってここにお魚泳がしてねってラフ描いて、これを力トキ君にラフ描いてもらって渡せば多分通るからって編集にアドバイスして。『パト2』の小説も、ビジュアルは藤原カムイ末弥純の名前を出してみなさいって。押井さんOKするからって。そうやって押井さんの好みもチェックしつつ、段取りをつけてた。

 ゆうき先生もこの件についてこう語っています。

 こういった経緯があったわけです。たまに「押井監督が他のヘッドギアメンバーパトレイバー2の内容を巡って喧嘩別れした」という風な事を言っている人がいますが、そういう訳ではないというのが窺い知れると思います。ヘッドギアはパトレイバーのための原作者集団であり、ヘッドギアで他の作品を新たに作るというようなものではないとも、出渕さんがインタビューで語っています。

 それから、TNGパトレイバーのイベント「マモルの部屋」で出渕さんとアニメ版パトレイバーのプロデューサーだった鵜之澤さんがゲスト出演しましたが、そのときのweb記事タイトルに、犬猿の仲がどうのというのがありますが、このイベント以前に押井監督関わった実写作品に出渕さんが出演していたりするので、個人的にはハァ?と思う記事でした。

 今まで引用してきたような思いがある押井監督ですが、今回の実写版をどのように仕上げるのでしょう。

 メカ好きとしては、そこまで理屈をあれこれ考えたり、制作側に強引に実物大モデルを作ることを要求して完成させたのならば、劇中で実物大とレイバーキャリアを使っての小隊移動やデッキアップ描写、CGでもそれなりにレイバーを動かしてくれないと収まりがつかないので、そこに期待したいのですが……

2014/04/16 誤植があったので訂正しときました。コメントどうもでした。

 

機動警察パトレイバー 1/48 98式AV イングラム

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押井守・映像機械論[メカフィリア]

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押井守ぴあ (ぴあMOOK)

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機動警察パトレイバー 完全設定資料集 Vol.1 TV編

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