続報は
2016年10月
2016年10月13日、株式会社ジェンコ・真木太郎社長のフェイスブックに、以下の投稿がされました。
時期的には『機動警察パトレイバー REBOOT』が、東京・大阪の劇場で上映される直前の投稿です。
フェイスブックが利用を許可している埋め込み機能を使っていますが、「もっと見る」の部分をクリックすると全文表示されます。
2016年11月
そして11月23日には、以下のような投稿がされました。時期的には、REBOOTが「日本アニメ(ーター)見本市」のWEBサイトで配信開始された日です。REBOOTは日本アニメ(ーター)見本市で企画された作品なので、恐らくREBOOTが新たなプロジェクトでは無いと思います。
2016年12月
真木社長は、話題の映画『この世界の片隅に』のプロデューサーを務めています。12月4日に岡田斗司夫氏のニコ生にゲスト出演し、『この世界の片隅に』の事を語っていたのですが、その際に岡田氏にパトレイバーの事も聞かれていました。
最初ニコニコ動画のを埋め込んでたんですが、ニコニコは読み込み遅いし、再生時間指定も出来ないので、YouTubeにアップされたのに変更しました。知らなかったんですが、ご丁寧に字幕まで付けてアップしてるんですね。
動画の42分頃から語っています。
岡田「次回作パトレイバー」
真木「はい、パトレイバーはですね、5人のクリエーターの方がいて、もう一回なんかやろうよって事になってですね、たまたまあの最初のOVAを作った時の縁がありましたんで、もう一回面倒見てくれないかってことで。で5人からまあ……」
岡田「5人……5人と言うのは、えーと、ゆうきまさみくんと、押井さん、出渕さん、高田さん、伊藤さん。あっこの5人ともなんですか?」
真木「5人とも」
岡田「この5人一斉って珍しいですね」
真木「いやこの5人が共有してるんですね原作権として」
岡田「これまでこの5人全員が力あわせたのってテレビ版以降無かったんじゃないですか?」
(筆者注釈:テレビ版の後にパトレイバー2 the Movieをヘッドギア5人全員参加してやっているので、これは間違い)
真木「そう、だから……」
岡田「(ニコ生のコメントを指して)みんなもコメントで驚いとる、え押井監督もって」
真木「そうですそうです」
岡田「押井監督がやると5人のパワーバランスが著しく押井監督側に寄るじゃないですか。俺自身としては、日本のアニメプロデューサーは押井守に金を渡してはいけない論なんですよ」
真木「いやいや、押井さんがじゃなくて、5人から一応まあ僕が預かったんですね」
岡田「はいはい」
真木「パトレイバーっていうその物をね」
岡田「その物」
真木「だから今考えているのは、アニメも作ったり、ハリウッドに行って実写も作ったり、中国に行って中国語版を作ったりとかっていう事をやりたいなという」
岡田「このご時世に、さらっと中国に行って中国語版っておっしゃいますよね。さすが金が動くところに真木太郎あり」
岡田「じゃあもう5人から預かったので、ある程度真木さんの好きに?」
真木「いや、好きにではないですね。みんなの許可もらわなきゃいけないけども、いろんな事やりたいなと思ってますよね」
岡田「どの辺まで算段ついてるんですか?」
真木「とりあえずアニメはオリンピックまでにはやりたいと思ってます」
岡田「そのあとの実写っていうのもちょっと見えて来てるんですか?」
真木「実写はまあハリウッドを含めて、凄い有名な原作ですから、やりたいって会社複数ありますよね」
こんなやり取りがありました。字だけでは伝わらないので、動画を見てください。
プロデューサーがこういう事を言っていても、実現しないこともよくあるみたいですし、正式に発表されるまでは話半分に聞いておいた方がいいでしょう。発表されても頓挫するとかもありますしね。
アニメ
アニメの方は、フェイスブックの投稿にもありましたが、実現に向けて動いている最中?ニコ生で言っていたオリンピックが冬か夏で時期が変わるんですが、たぶん2020年・東京オリンピックまでに世に出す事を目標に動いているのでしょう。
まぁ、動いていても結果実現しないとか、劇場版『WXIII 機動警察パトレイバー』のように世に出るまで長い時間がかかる事も十分考えられますし、これも今の段階では話半分で聞いておいた方がいいでしょう。
実写
実写の話は、ハリウッドや海外でやりたがっているプロデューサーや監督が居る、くらいの話でしょう。
アニメやマンガの「ハリウッド版制作決定!」と話が出ても、結局制作にまで漕ぎ着けなかった例は複数あります。
もう何年も前に、『ルパン三世』もハリウッドで活躍するプロデューサーに実写化権が売れて記者会見までしたんですが、結局あっちでは制作されませんでした。そう言えば『エヴァンゲリオン』も似たような話がありましたね。
こういう事がどうして起きるかと言うと、いくつか理由があるらしいのですが「オプション」という仕組みと言うか、権利販売の方法があるからかもしれません。オプションというのは、期限付きで映像化権を売る方法です。期限が過ぎれば、その権利は権利者に戻るのです。
実際に撮影に入る前、若しくはその予定前にこういう発表されたものの、制作に至らない作品はこれからも出てきそうです。
海外でのパトレイバー実写化企画
パトレイバーに関しては、1997年頃にクリストフ・ガンズ監督(フランス版の映画『美女と野獣』、『サイレントヒル』や『ジェヴォーダンの獣』などの監督)が実写化しようとしていたのですが(イギリスのMANGA MANIAという本の1997年10・11月号の記事参照) 、制作を検討していた会社は予算が掛かり過ぎるという判断をし、制作に至る事は無く実現には至らなかったそうです。
クリストフ・ガンズ監督はフランス出身で、日本のマンガやアニメに影響を受けたと語っています。日本人プロデューサーが製作総指揮したホラー・オムニバス映画『ネクロノミカン』の一篇で監督をしたのですが、この映画には金子修介監督&伊藤和典脚本の一篇も含まれています。オムニバス作品の別々の作品とはいえ、ヘッドギアの一人である伊藤氏と共に同じ映画で名を連ねており、パトレイバーとの接点(直接会った事があるかどうかは分かりませんが)は一応あるのです。
ガンズ監督の実写化検討が、パトレイバーの権利を持つ会社としての形もあるヘッドギアや、バンダイビジュアルや東北新社の承認を得てからの検討だったのか、実写化を持ちかけるプレゼン前の段階だったのかは不明です。が、海外の映画監督にもパトレイバーを実写化したい、と思っている人間がいたのは確かです。恐らくガンズ監督以外にもそう思っている映画監督はいるでしょう。
追記
MANGA MANIAのインタビューによると、ガンズが実写化映画話を持ち掛けられた際に複数の漫画実写化権が挙げられたリストがあり、そのなかにパトレイバーがあったようです(ガンズが撮った漫画原作「クライング・フリーマン」の製作を見ると東北新社が居ますし、TNGでヘッドギアの4人に話を通さず作り始めたことを見ると、新社はパトレイバーの権利で重要な部分を握っていたのでしょうから、当時実写化する作品の一つとして挙げていても不思議ではないでしょう)。
ガンズはその中でも特にパトレイバーをやりたかったようで、その時からアイデアがあったとの話です。そして、バンダイビジュアルとのミューティングも持たれたそうです。
構想としては、手持ちカメラのドキュメンタリー形式で撮影し、街にいる人々の視点を使う事を考えていたようです。他にも戦争映画やゲリラ、戦車という言葉が出ているので、どちらかと言うと劇場版2作目的なものが頭にあったようです。
その後、2000年代に入ってから他のスタッフが語ったところによると、予算規模が大きくなり検討していたスタジオでは実現できないということで、企画は中止になったそうです。
ここで思い出した方もいるかもしれませんが、1998年に押井監督がデジタルエンジンで制作したパトレイバーライブアクションのパイロット版が、このガンズの案と似ています。手持ちカメラで撮影され、市井の人々の視点があるのは全く同じと言っていいでしょう。たまたま同時期に同じようなアイデアが出ただけなのか、ガンズの話が何らかの形で日本側の押井監督に伝わったのかは、謎です。もし押井監督本人に質問できたとしても最近のトークショーとか見ると、そういう事があったとしても覚えて無さそうですが……
追記
余談なんですが、上記の様な話が出てから数ヶ月後の2017年3月に以下のような記事が出ました。
この記事の中に、
他にもハリウッドで実写化して欲しい作品はあるかとの質問に対し、押井監督は「機動警察パトレイバー」をまず挙げている。「パトレイバーの舞台をアメリカ に変えると面白いのではないかと思います」と監督。「『ゴーストバスターズ』のようなコメディにしたら、面白くなるでしょうね」
という記述があります。そして、真木プロデューサーがフェイスブックでこの記事を引用し「パトレイバーやりましょう」とコメントしています。やはり展開のひとつとして、海外での実写化企画に積極的のご様子。
ただ、ここで言っているのは「押井さんを監督にして実写化しよう」と云う話ではないのが、下に貼った記事(2017年9月頃の真木氏の発言)からわかります。
監督や脚本は押井さんじゃありませんがTVシリーズにもCLATがありますし「何となくあんな感じのだろうか?」と想像したりしますが、果たしてどうなるでしょう。
ーーー追記ここまでーーー